トップ > 部門紹介 > 薬剤部トップ > くすりのQ&A

くすりのQ&A

病原性大腸菌について

これから夏にかけて、気温が上昇し、湿度が高くなるため、食中毒の原因となる菌が増殖しやすい季節です。今回は食中毒の原因菌の一つである「腸管出血性大腸菌」について情報提供したいと思います。
大腸菌はどんなバイキンですか?
大腸菌は、健康なヒトや動物の腸の中に存在し、病原性のある他のバイキン(正式には細菌と言います)を増やさないようにして健康保持に役だっています。
しかし、一部の大腸菌はヒトに腹痛・下痢を主な症状とする食中毒を引き起こします。これらを食物などと共に摂取すると腸の中で細菌が増え下痢、嘔吐などの食中毒症状を起こします。この様に食中毒を起こす大腸菌を「病原性大腸菌」と呼んでいます。
腸管出血性大腸菌とは?
昨今、国内外で多く報道されている「腸管出血性大腸菌」は病原性大腸菌の一つです。感染力が強く、症状が重症化する場合があり、容易に大規模な集団感染を引き起こします。
  1. 特徴
    牛など家畜の腸の中に存在し、主に食品や水を介して感染するといわれています。感染した患者の便などを介して人から人への感染(二次感染)もおこるので注意が必要です。ヒトの腸の中で毒性の強いベロ毒素を出します。潜伏期間は4〜9日です。
    このベロ毒素対する治療薬は残念ながらありません。現在研究中です。
  2. 主な症状
    激しい腹痛・水溶性の下痢、血便が特徴です。特に小児や老人では、溶血性尿毒症や脳症などの重篤な合併症を引き起こすこともあります。
    • 強い感染力☆
      一般の食中毒の場合、菌が100万個から1000万個で感染を起こしますが、腸管出血性大腸菌は他の食中毒菌よりも少ない菌量(なんと100個程度)でも発病します。
    • 種類
      O-157、O-111、O-104、O-1、O-26、 O-128などが知られています。
      アルファベット「O」の後ろに●●●と数字が書かれていますが、菌が見つかった順番の番号です。
食中毒の予防法を教えてください。
  1. 調理の際の注意点
    加熱用食材は必ず十分な加熱をしましょう。腸管出血性大腸菌など細菌性食中毒の予防には75℃で1分以上の加熱をしましょう。
  2. 日常生活での予防策
    → ポイントは手洗いです。食事前、排便後など、日ごろからしっかり手洗いをしましょう。
  3. 二次感染の予防策
    → ポイントは手洗いです。咳・くしゃみ・汗などでは感染しません。
食中毒と思ったら?
受診のタイミング
軽度の感染症であれば、一般には1〜2日で症状は軽減し、自然に治ります。
激しい下痢、嘔吐、発熱などの症状、また複数の症状を伴うときは、病院を受診しましょう。放っておくと重症化する場合もあるので医師の診察を受けることが大切です。特に次の場合は、すみやかに受診してください。
  • 血便がある : 病原体が出す毒素で腸の壁が損傷を受けている可能性があります。腎臓が悪くなる場合もあります。
  • 水溶性の下痢が1日10回以上 : 脱水になります。特に小児や高齢者は危険です。
下痢、腹痛がひどくて薬を飲もうと思った時は?
下痢や嘔吐などの症状は体内に入り込んだ毒素を排出しようとする生体反応です。
腸の動きを止めるタイプの下痢止めを服用すると長時間細菌が体の中から出て行かないことになります。
また、微熱を伴う場合もあるので、以前病院で処方された抗生物質を服用してしまう場合もありますが、激しい下痢が続く場合、下血がある場合は自己判断で絶対に薬を飲まないでください!
症状が続くようであれば必ず医療機関を受診してください。