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耳鼻咽喉科 / 外来日帰り手術・処置

慢性中耳炎に対する鼓膜形成手術(接着法)

慢性中耳炎とは、鼓膜に穴(穿孔)があき、難聴や、耳から汁が出るような状態が長く続く病態をいいます。鼓膜形成手術はこの鼓膜の穴をふさぎ新しい鼓膜を再生する手術ですが、従来の術式では約2週間の入院が必要でした。しかし、1989年に湯浅 涼博士がフィブリン糊を用いた低侵襲性の手術法(接着法または湯浅法)を発表してからは、外来または1~2泊程度の短期入院で治療が可能になりました。
  • どのような手術ですか?
    鼓膜の表面に麻酔薬付きの綿をしばらく置き、鼓膜を麻酔します。鼓膜の穴のふちをぐるりと切除したのち、耳の後ろを1~2cm切開して採取した組織片をこの鼓膜の穴に内側から貼り付け、フィブリン糊により固定します。手術は通常40分~1時間程度で終了します。ほとんどの例で手術直後から聴力の改善を自覚します。
    貼り付けた組織片の表面に周囲から徐々に血管、さらには皮膚組織が伸びてきて鼓膜の再生が完成します。
    手術後、組織片のずれなどで再び穴があく例が約20%にみられますが、このような場合のために手術の際に組織片を余分に採取し凍結保存してありますので、これを再度フィブリン糊で穴に貼ることで外来にて閉鎖処置が可能です。最終的には約95%の穿孔が閉鎖します。
    鼓膜所見と聴力
    1. 術前の右鼓膜(図1)
    2. 術後2か月の右鼓膜。術後1年半経過した現在も穿孔は閉鎖している。(図2)
    3. 純音聴力検査。左耳にも難聴があり右は聞こえが良いほうの耳だったが、術後より右耳の聴力は改善し、生活の質は大幅に改善した。(図3)
    術前の右鼓膜 図1 術後の右鼓膜 図2 聴力検査結果グラフ 図3
  • どのような症例が対象となりますか?
    鼓室に病変がなく、パッチテストの結果が良好(鼓膜を一時的に綿などで塞いた際に十分な聴力の改善が得られる)な場合はよい適応となります

嚢胞を伴う良性の甲状腺腫・上皮小体嚢胞・頸部嚢胞性疾患などに対するアルコール注入療法(PEIT)

穿刺吸引細胞診などの検査により悪性が否定的な、嚢胞(液体の袋)を伴う甲状腺腫、上皮小体嚢胞、リンパ管腫等頸部嚢胞性疾患などに対して行います。超音波ガイド下に針を刺して内部の液を除去した後、エタノールを注入して組織の凝固、血管塞栓をおこさせ、再び増大しないようにします。
外来で行うことができ、頸部に傷を残さない点で優れています。
エタノール注入の際には痛みを伴いますが、通常30分以内に消失します。通常、数回にわたり注入を要します。
頸部超音波所見
  1. 術前。径3cmの嚢胞を伴う腫瘤を認める。(図4)
  2. 術後7か月。腫瘤は著明に縮小。(図5)
術前 図4 術後7ヶ月 図5

声帯ポリープなど喉頭良性腫瘤に対する軟性ファイバースコープ下手術

声帯ポリープなど喉頭良性腫瘤に対する音声外科手術においては、繊細な手術操作や安定した術野を要すること、絞扼反射(口の奥を触ったときに起こる「げっ」という反射)が生じないことなどの制約があるため、全身麻酔下のラリンゴマイクロサージャリー(以下ラリンゴ)が広く行われてきました。しかし、近年の軟性ファイバースコープの発達は、局所麻酔下においても安定した術野の確保と、ラリンゴに劣らぬ繊細な手術操作を可能にしました。
  • どのような手術ですか?
    鼻・のどに麻酔薬を噴霧し麻酔した上で、鼻からのどへ挿入された内視鏡で助手が術野をモニター上に映し出し、術者はこれを見ながら口から専用の鉗子、メス等を入れ、手術操作を行います。声帯ポリープの摘出、声帯結節に対するステロイドまたは声帯麻痺・萎縮に対するコラーゲンの声帯への注射、軽度のポリープ様声帯に対する切開・液の吸引などが可能です。
  • 利点や欠点はありますか?
    術中に声のモニターができることは局所麻酔ならではの利点ですし、重篤な基礎疾患をもつかたでも全身麻酔に比べ侵襲が軽くすみます。また、肉芽腫などに多い後部声門の病変でも、全身麻酔時のような挿管チューブによる術野の妨げがないため、より良好な視野が得られます。外来で行うことが可能です。
    ただし、絞扼反射が強いかた、のどの観察が難しいかたには行うことは困難です。また、病変が大きな例、多量出血が予想される例、乳幼児には適応がありません。術後1週間は発声を控えていただきます(これはラリンゴと同様)。

アレルギー性鼻炎に対するレーザーを用いた粘膜焼灼術