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耳鼻咽喉科 / 入院手術

甲状腺腫瘍(良性の腺腫、悪性の癌)やバセドウ病に対する手術

アルコール注入療法(PEIT)の適応にならない腺腫(大きい、悪性の可能性がある、など)、癌、薬物療法で治療困難なバセドウ病に対しては手術療法を行います。甲状腺疾患の豊富な治療経験に基づき、腫瘍に対する必要十分な切除はもちろんですが、頸部切開線のデザイン・縫合法、反回神経・上喉頭神経外枝・上皮小体などの温存、腺腫における胸骨舌骨筋の温存、気管・鎖骨・胸骨の切開・切除、気管の再建法など細部にわたり症例に応じて慎重な検討と配慮を行っています。また、バセドウ病は内科と協力し、血清甲状腺ホルモン値や残す甲状腺組織量などを十分検討の上、手術に望んでいます。
入院期間ですが、良性または早期癌であれば術後3~7日間で退院が可能です。当科では通常表皮は5-0または6-0という非常に細い糸を用いて縫合し、術後4~5日目に抜糸を行います。このような細い糸を適切に用いれば、少なくとも糸により皮膚が締め付けられて生じる皮膚の瘢痕は防ぐことができます。この糸の代わりに医療用接着剤を用い表皮を固定することもでき、これだと抜糸が不要となり早期退院が可能です。ただし、いったん固定したあとは表皮のずれの微調整が困難で、合わせた皮膚と皮膚の間に微量の血液が溜まりやすく創治癒への悪影響も懸念されるため、ご希望や皮膚の性状などをかんがみ症例に応じて使用しています。
症例
  1. バセドウ病による巨大な甲状腺腫(CT)(図6)
  2. 摘出した甲状腺。摘出量は560gで、左葉を4.1g残した。(図7)
甲状腺腫 図4 摘出した甲状腺 図5

口腔・咽頭・喉頭・頸部食道癌に対する治療

口からいわゆる「のど」にかけての癌の特徴として、1. そしゃく・嚥下、呼吸、発声などの機能と関連している、2. 味覚、嗅覚などの感覚系と関連している、3. 容貌の変化が目立ちやすい、4. 血管など重要な構造物に近いことが多い、等があります。手術で大きく病巣を切除すると一般的に根治性は高まりますが、その分機能低下や容貌の変化をきたし、QOL(生活の質)の低下を招きやすくなります。このため根治性とQOLのバランスが強く求められますが、われわれは手術、放射線療法、化学療法(抗癌剤)を効率よく組み合わせることでこれを目指しています。また、最近は進行癌に対し超選択的動注化学療法を症例に応じて行っています。これらの治療は放射線科、外科、形成外科、脳外科、歯科などと協力して行います。
症例1
  1. 超選択的動注化学療法前の進行した舌癌(図8)
  2. 注後1ヶ月。腫瘍は著明に縮小し手術可能となり、舌亜全摘術および大胸筋皮弁による舌再建術を行った。(図9)
舌癌 図8 舌再建手術 図9
症例2
  1. 頚部食道癌の食道透視像(図10)
  2. 咽頭喉頭食道摘出術、両頸部郭清術、胃管による食道再建術(外科と共同)ののち放射線療法を行い、治癒。呼吸は前頸部の気管孔(矢印)より行う。(図11)
食道透視像 図10 気管孔 図11