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腎臓・泌尿器科/腎臓内科部門

腎生検での腎臓病診断について

 健康診断などで「たんぱく尿」や「血尿」といった「おしっこ(尿)の異常」が見つかることがあります。また血液検査で「クレアチニン」という腎臓の働きを示す検査の異常が見つかることがあります。腎臓の役目は、全身の血液・体液を浄化して老廃物を捨てるためのおしっこ(尿)を作ること、そのことで体を常に安定した状態に保つことです。その大切な腎臓に病気が起こるとき、厄介なことに、かなり悪化しないと自覚症状は出ないことが多いのですが、おしっこ(尿)や「クレアチニン」の異常として見つけることができます。
 腎臓病は、腎臓そのものの病気である「慢性腎炎」や「急速進行性腎炎」、糖尿病や高血圧といった生活習慣病に引き続いて起こる「糖尿病性腎症」や「腎硬化症」、生活習慣病以外のいろいろな病気に伴って起こる「続発性腎障害」、家族性のある「多発性嚢胞腎」や「遺伝性腎炎」など、様々な種類がありますが、それぞれで進行具合や治療法が異なっています。また、ほとんどの腎臓病は慢性的な経過を辿るために、慢性腎臓病(CKD)として共に付き合っていくことになりますが、CKDの原因をしっかり調べて適切な治療をすることで、より腎臓を守っていくことができます。
 腎臓病の正確な診断のための検査として、「腎生検」があります。腎臓の組織の一部を細い針で採取して、腎臓の構成要素である糸球体・尿細管・間質・小血管を詳しく観察することで、腎臓病をかなり正確に診断することができます。腎臓には1分間におよそ1Lもの大量の血液が流れていますので、腎生検に伴う出血のリスクを最小限にするために検査後の安静がとても大切です。また、同時に蓄尿することで詳しい腎臓の検査も行いますので、5~7日間の入院が必要となります。腎臓病が発症してから長期間になると、CKDが進行して腎臓が小さく硬くなるために腎生検ができなくなります。治療可能な腎臓病をしっかり診断して治したり、慢性的な腎臓病でも腎機能の悪化を遅らせる可能性を高めるために、おしっこ(尿)や「クレアチニン」の異常が分かったら、早めに腎臓専門医を受診するようにしてください。その上で、腎生検による腎臓病の診断が望ましいと考えられる患者さんには、メリットとリスクを含めて十分にご相談させて頂き、治療方針を決定します。腎生検ができない患者さんに対しても、その他の検査や経過を追うことで、なるべく正確性の高い腎臓病の診断を付けて、適切な治療を受けることができるように努めております。

慢性腎臓病(CKD)教育入院について

 慢性腎臓病(CKD)とは、慢性に腎機能が低下したり、たんぱく尿を認めたりする腎臓病のことです。将来、進行すると、末期腎不全状態になり、透析や腎臓移植を受けなくてはいけなくなることもあります。また、CKDであること自体が、心血管疾患を引き起こす危険因子であることがわかっています。CKDを引き起こす疾患は、糖尿病、高血圧、慢性腎炎などが代表的です。CKDの怖いところは、末期腎不全に至るまで、全く症状が出ないことが多いことです。症状が現れる頃にはすでに手遅れのことがあります。
 このCKDは、早く診断し、適切な食事療法や内服療法を行うことで、かなり進行を抑えることができることがわかってきました。そのためには、健診やかかりつけの医療機関でたんぱく尿や血尿を指摘されたり、腎機能の低下を指摘されたりした場合は、ためらわずに早めに当院のような腎臓専門医を受診していただくことが大切です。そして何より大切なのは、患者さんご自身に腎臓病や食事療法をしっかりご理解いただくことです。
 患者さんご自身の腎臓病をご理解いただき、CKDの進行を抑える方法をしっかり覚えていただくため、当院では慢性腎臓病(CKD)教育入院を行っています。外来でご指導することもできますが、なにぶん日常外来では短時間しか診察ができないことも多く、十分ご指導できないことが多いです。その点、入院ですと、ゆっくり時間をかけて、当院の腎臓専門医や腎臓専門看護師、栄養士をはじめとする専門のスタッフが納得ゆくまでご指導し、実際の食事を体験していただくことで、患者さんのCKDに対する理解が非常に深まり、その後の日常生活でCKDを進行させないような生活を送ることができるようになります。
 実際、入院された患者さんにも大変好評を得ており、「腎臓の治療に対する考え方が変わった。」「知らなかったことが多く、知らないまま生活していたらと考えると恐ろしい。」「最初入院と聞いて嫌だったけど、入院しなければこんなにじっくり勉強できなかった。ありがとう。」との声をいただいております。
 入院は基本的に7日間ですが、2日間は勉強したことを自宅で実践していただく外泊日になっておりますので、実際に病院にいていただくのは4~5日間ほどになります。もちろん、検査や学習時間が入っていない時の臨時の外出は可能です。
 健康診断で血尿やたんぱく尿を指摘されたけど、症状がないからそのままにしているかたはいらっしゃいませんか?教育入院をするかどうかはともかく、自分が慢性腎臓病(CKD)かどうかわからず不安というかた、CKDということがわかっているがどのように対処していいかたわからないというかたは、一度お気軽に当科を受診してみてください。

透析用シャント血管治療について

 今回は、当院で行っているVAIVT(経皮的シャント拡張術)をご紹介します。当院では毎年、年間約200例の施行実績があり、2016年現在、福井県内では最多です。基本的に日帰り入院(場合により1泊2日入院)していただき、行っております。まず、患者さんのシャント血管にシースと呼ばれる専門のプラスチック針を穿刺します。このシースから、種々のテクニックを用いて、狭窄部に細いガイドワイヤーを通します。ガイドワイヤーが通ったら、それに沿って、バルーンカテーテルを通し、狭窄部へ進め、特別な加圧器(インデフレーター)を用いて狭窄部を拡張します。終了したら、バルーンカテーテル・ガイドワイヤー・シース全てを抜去して止血し、終了です。
    超音波(エコー)での透析用シャント血管治療について
  • 拡張前
  • バルーン拡張中
  • 拡張後
 VAIVTの最大の利点は、シャント血管が短くならないということです。再建術は、多くの場合、狭窄部よりも体幹側で動静脈を再吻合する必要があり、シャント血管の短縮が避けられず、穿刺範囲がどうしても狭まりますが、VAIVTは、そのようなことがなく、シャント血管が短くなることがなく、穿刺範囲が狭まりません。しかし、3カ月以内に頻回にシャント狭窄の再発を起こし、他に再建術に適した血管がある場合などは、VAIVTでなく再建術が適しており、当院にてあわせて行っております。
 多くの医療機関では、VAIVTはレントゲンを用いて、血管の中に造影剤という検査薬を注射しておこないますが、当院では、造影剤を用いない超音波(エコー)でのVAIVTも多く行っております。超音波下のVAIVTの場合、余計な造影剤を体内に注入する必要がなく、レントゲンによる被ばくもなく、副作用の少ない治療が可能になっております(ただし、医師の判断により、超音波下のVAIVTが不適切と判断された場合は、レントゲンと造影剤を用いて行います。万一造影剤アレルギーがある場合でも、造影剤の代わりに炭酸ガス(体に無害です)を用いるVAIVTも行っております。ご安心ください。)。
 当院では、日々患者さんに実際に接する透析担当医である腎臓内科医自身がVAIVT(シャント血管内治療)を行っており、シャント診察にも深く関わっております。透析治療を日々行う医師自身が、シャント治療にも精通しておりますので、適切できめ細やかな治療が可能です。
 他院の患者さんでも、随時シャント診察・シャント治療を受け付けております。治療が必要か否か、治療法はVAIVTが良いのか再建手術が良いのか、などにつき、シャントに精通した医師が適切にアドバイスさせていただきます。診察をご希望の患者さんは、透析を行っている病院・クリニックの担当医の先生を通して、当院の外来予約をお取りいただき、紹介状を持参のうえ、来院ください。基本的に火・水・木・金の片野医師の診察になります。