特色
院内感染対策チーム(ICT)
当院では、1991年に院内感染防止対策委員会が設置され、2003年には、院内感染対策チーム(Infection Control Team:ICT)が結成され活動を開始しました。2010年に設置された感染管理室、2003年から設置されている看護部ICTリンクナース委員会と共に、以下の活動を行っています。
ICTの構成
- 医師(インフェクションコントロールドクター)
- 看護師(感染管理認定看護師)
- 薬剤師(感染制御認定薬剤師)
- 臨床検査技師
- 診療放射線技師
- 言語聴覚士*リハビリテーション科部代表
- 事務
活動内容
- 教育活動全職員対象とした年2回の必須研修。感染管理コースⅠ(全8回)、感染管理研修コースⅡ(全5回)の開催
- 院内ラウンド(巡視)
環境ラウンド
抗菌薬ラウンド - サーベイランス(調査監視)
手指消毒薬の使用量、耐性菌、監視菌のサーベイランス
各種医療関連感染サーベイランス(一部、厚生労働省院内感染サーベイランス事業に参加) - コンサルテーション業務
抗菌薬関連、感染防止対策関連など - 感染管理マニュアルの作成及び改訂
- アウトブレイク対応
- 病院環境整備
- 職業感染の対応
- 針刺し切創・粘膜曝露事故の対応
- 抗菌薬適正使用に係るデータの収集と解析
- 他施設との感染管理の情報共有と連携、定期的なカンファレンスの開催
抗菌薬適正使用支援チーム(AST)
抗菌薬適正使用支援(Antimicrobial Stewardship, AS)の目的は、主治医が抗菌薬を使用する際、患者さんに対して最大限の治療効果を導くと同時に、有害事象をできるだけ最小限に留め、いち早く感染症治療を完了する(最適化する)ことです。感染症診療を行っている医師・薬剤師・臨床検査技師・看護師がチームとなって、主治医の支援を行います。
当院ではこれまで耐性菌を保菌・感染した患者から、保菌していない患者に広げない対策としてICT活動を行ってきました。2018年から、ICTメンバーを中心に、患者さんへの抗菌薬使用を適切に管理する対策としてASTを立ち上げました。血液培養陽性患者さんのアセスメントや、抗菌薬適性使用の提案を行っていきます。
ASTの構成
- 医師(インフェクションコントロールドクター)
- 看護師(感染管理認定看護師)
- 薬剤師(感染制御認定薬剤師)
- 臨床検査技師
- 事務
活動内容
- 感染症治療の早期モニタリング及び主治医へのフィードバック
- 抗菌薬適正使用に係る評価
- .微生物検査・臨床検査の利用に関すること
- 抗菌薬使用指針の作成及びアップデート
- 抗菌薬適正使用促進のための教育・啓発
- 定期的な採用抗菌薬の見直し
- 他施設との抗菌薬適正使用の情報共有と連携、コンサルテーション
栄養サポートチーム(NST)
低栄養などの栄養管理の必要な患者さんに専門スタッフが協働し、最良の方法で栄養支援を行っています。
入院初期からスクリーニングとアセスメントにより栄養状態を把握し、栄養管理が必要な場合は適切な栄養投与法を検討し、栄養補給を行って栄養状態を改善させることを目的としています。
また、適切な栄養管理は、治療効果の向上・合併症の減少・QOLの向上・平均在院日数の短縮・医療費削減などにも繋がります。当院の総合的な医療レベル向上に寄与できるように活動しています。
栄養サポートチームの構成
- 医師(外科、消化器内科、歯科)
- 看護師
- 管理栄養士
- 薬剤師
- 臨床検査技師
- 言語聴覚士
活動内容
・病棟回診やカンファレンスを行い、対象患者の診療のサポートをしています
・定期的に勉強会や症例検討会を開催し、栄養管理に関係した問題点を検討・改善を行っています。
・講演会の開催や各種学会への参加による見識の向上や、院内への啓蒙活動を行っています。
摂食嚥下支援チーム
患者さんが安全に食事を食べていただくことができるように、嚥下機能の回復や誤嚥の予防を通して、ADL・QOLの向上を目指し活動をしています。「食べる楽しみ」が継続できるように多職種で支援していきます。
摂食嚥下支援チームの構成
- 医師(耳鼻咽喉科)
- 摂食・嚥下障害看護認定看護師
- 言語聴覚士
- 管理栄養士
- 薬剤師
活動内容
- 嚥下機能の評価を行い食事内容・食形態の決定を行います。
- 栄養サポートチーム(NST)と連携して、栄養状態の改善を行います。
- 嚥下機能に影響を与える投薬状況の確認を行います。
- 週に1回、摂食機能療法の依頼があった入院患者さんを対象にカンファレンスを実施しています。
早期栄養介入チーム
特定集中治療室(以下ICU)に入室する重症患者さんでは、栄養障害の進展が早いため、早期に栄養補給を行わなければ、感染性合併症や死亡率の増加など予後悪化につながるといわれています。当院では専門スタッフがチームとなり、重症患者さんへ早期に栄養補給が行えるように支援しています。また必要に応じて、栄養サポートチームや早期離床・リハビリテーションチームと連携し、栄養状態の改善を目的に活動しています。
早期栄養介入チームの構成
- 医師(集中治療室長)
- 看護師
- 管理栄養士
- 薬剤師
活動内容
- ICU入室初期から栄養状態や消化管機能の評価を実施しています。
- 毎日カンファレンスを実施し、栄養投与内容の検討・見直しを行っています。
呼吸ケアサポートチーム(RST)
人工呼吸器からの離脱の遅れに伴い人工呼吸器関連肺炎(Ventilator Associated Pneumonia:VAP)などの合併症のリスクが高まり、逆に早すぎる離脱による再挿管が問題となっています。
当院では2010年3月より、一般病棟で人工呼吸器を装着されている患者さんの早期離脱かつ安全な呼吸管理を目指して呼吸ケアサポートチーム(Respiratory Support Team: RST )の活動を始めました。
呼吸ケアサポートチームの構成
- 医師
-
看護師
- 臨床工学技士
- 理学療法士
- 歯科衛生士
- 事務
活動内容
- 専門スタッフがチームとなり、週1回の回診とカンファレンスを行い呼吸管理のサポート
- 院内の教育活動(連携医療機関の参加もあり)
院外(院内)講師による講演会、人工呼吸管理に関する研修会、口腔ケアに関する研修会など - 2カ月に1回のRST連絡会の開催
糖尿病サポートチーム
糖尿病に罹患する患者数は年々増加の一途をたどり、その90%が2型糖尿病患者です。当院は地域の基幹病院として、専門的な糖尿病診療の標準化と患者教育・安全管理に取り組み、地域連携医療機関と医療連携を推進する役割を担っています。また、院内診療においては、関連診療科と連携し、糖尿病診療における医療の質を向上させ、患者さんの日常的な療養生活のサポートや合併症(糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症)などによる、しびれや神経痛、失明、腎不全や透析を必要とする尿毒症(通常は尿によって排泄される尿素や廃棄物が血液中に残存する病気)などの重症化を予防するために多職種でのチーム医療を行っています。
糖尿病サポートチームの構成
- 医師
- 看護師
- 薬剤師
- 臨床検査技師
- 理学療法士
- 管理栄養士
- 視能訓練士
- 歯科衛生士
活動内容
・糖尿病の専門的治療の標準化の整備
・糖尿病診療における安全管理
・糖尿病治療におけるスタッフ教育
・糖尿病ケアの実践能力の向上
・地域連携医療機関との医療連携の推進
・院内外を含めた糖尿病患者会活動の支援
認知症ケアチーム
高齢者や認知症がある方は、身体の不調や環境の変化に適応が難しいことから、入院すると認知症症状の悪化やせん妄を引き起こすことがあります。当院では、多職種で構成した認知症ケアチームが主治医及び病棟スタッフと協働しながら、安全で安心できる療養環境を整え、患者さんが円滑に入院治療を受けることができるようサポートいたします。
認知症ケアチームの構成
- 医師(日本認知症学会専門医)
- 認知症看護認定看護師
- 作業療法士
- 公認心理師
- 社会福祉士
活動内容
- 毎週病棟回診やカンファレンスを行い、病棟スタッフとともに、ケアや療養環境について検討します。認知症ケアの質の向上のため、看護計画の評価・助言、研修会を開催しています。
- はっぴー(院内デイケア)
入院生活の中で短い時間でもベッドを離れ、治療を忘れて穏やかな入院生活を過ごしていただくために、認知症看護認定看護師や作業療法士などが企画した様々な活動(体操、ゲーム、工作など)への参加をお勧めしています。当院ではこの取り組みを「はっぴー(院内デイケア)」と称し、週2回程度、入院患者さんを対象に開催しています。
排尿ケアチーム(CST)
人は人生の終わるその時まで、排泄の世話は自分で行いたいと願っています。しかし、突然の病気や事故により、膀胱留置カテーテルの挿入やおむつの装着が必要となり、介助を受けなければならなくなることがあります。私たち排尿ケアチームは、膀胱留置カテーテルを抜いた後、排尿障害(尿閉・排尿困難・尿失禁・頻尿など)を生じた患者さんに対し、最善・最適な排尿方法を確立できるよう病棟看護師と協働し、包括的排尿ケアを行います。又、必要時退院後も外来において、排尿ケア・指導を継続して行っていきます。
患者さんやそのご家族が排尿障害に対する不安や悩みを最小限にし、退院後の療養生活を安心して送れるよう支援します。
排尿ケアチームの構成
- 泌尿器科医師
- 専任看護師
- 理学療法士・作業療法士
活動内容
- 膀胱留置カテーテルの留置状況を把握し、不要な留置が行われていないかをチェックしています。
- 毎週1回、排尿ケアラウンドを行い、病棟看護師とその人にあった排尿ケアをカンファレンスします。
- 包括的排尿ケアを病棟看護師とともに行っています。
- 必要な患者さんに自己導尿指導、骨盤底筋体操の指導を行います。
- 1年に1回の職員教育を行い、排尿ケアの知識の向上や啓蒙活動を行います。
褥瘡対策チーム
褥瘡(床ずれ)は、何らかの理由で同一体位が続いた場合に、皮膚と骨との間の軟部組織が障害されて発生します。一度発生すると完治までに時間がかかり、痛みを伴うことで心身共に患者さんには大きな負担がかかります。そのため予防はもちろん、早期改善のための取り組みが重要となります。
褥瘡対策チームは、「薬剤管理」「体圧管理」「スキンケア」「栄養管理」「リハビリテーション」など多角的に評価し、専門的な褥瘡対策を提供しています。
褥瘡対策チームの構成
- 褥瘡専任医師(皮膚科医)
- 褥瘡専任看護師
- 薬剤師
- 管理栄養士
- 理学療法士
- 皮膚排泄ケア認定看護師
活動内容
- 褥瘡発生リスクがある患者さん、褥瘡を保有する患者さんに対して、褥瘡診療計画書を作成し、適切な褥瘡対策が実施できるよう指導・評価を行っています
- 週1回の褥瘡ラウンドでは、褥瘡を保有する患者さんの早期回復をサポートしています
- 週1回の褥瘡予防ラウンドでは、褥瘡リスクのある患者さんへのサポートを行っています
- 患者さんの状態に応じて、必要な体圧分散器具が適切に選択・使用できる体制を整備しています
- 定期的に勉強会を開催し、院内外の医療従事者に対して教育を行っています
- 日本褥瘡学会の施設会員として、最新の知見に基づいたケアを提供しています
緩和ケアチーム
緩和ケアはがんが進行してから受けるもの、というイメージはありませんか。
決してそうではありません。
緩和ケアはがんと診断されたときから始まります。
あらゆる時期のつらさや悩みに、様々な職種で構成された専門チームが対応します。
その人らしい暮らしを大切にしながら、こころやからだを支えます。
入院中はもちろんのこと、通院中の方は緩和ケア外来を利用できます。
集中的な緩和ケアを必要とする方は緩和ケア病棟を利用できます。
※最近ではがんだけでなく末期心不全も方にも緩和ケアを行っています。
緩和ケアチームの構成
・医師(身体症状対応医師、精神症状対応医師)
・看護師
・薬剤師
・管理栄養士
・理学療法士
・作業療法士
・公認心理師
・社会福祉士
活動内容
- 依頼を受けた患者さんの苦痛に対し、病棟ラウンドを行い、症状緩和のための介入を行います。
- 週1回、カンファレンスを行い、チームメンバーで苦痛の緩和方法について、検討をしています。主治医・病棟スタッフと連携し、今後の苦痛緩和に活かしています。
- 適応に応じて、神経ブロック(助間神経ブロックや腕神経叢(わんしんけいそう)ブロック、硬膜外ブロック等)や、緩和的放射線治療を実施しています。また、必要に応じて他施設に紹介します。
- 緩和ケア外来で、通院患者さんの苦痛症状に対して、支援をしています。
- 院内外の医療従事者に向け、緩和ケアの知識・技術向上のため、研修会を企画・開催しています。
ICU 早期離床・リハビリテーションチーム
集中治療室(ICU)では、手術直後や重篤な状態で入室された患者さんが、救命のみならず、可能な限り入院前の生活に戻れるよう、早期からのリハビリを実施する事を目的に2018年10月に『早期離床リハビリテーションチーム』を立ち上げました。
チームは専任の医師・看護師・理学療法士・作業療法士からなり、早期離床リハビリを行うために必要な情報を様々な視点から集め、リハビリの計画を立案しています。ICU入室が必要な重症患者さんにおいても、早期からリハビリを行うことで、人工呼吸器からの早期離脱、せん妄などの精神障害や重度の筋力低下を予防し、退院後の生活の質の向上につながります。
ICU 早期離床・リハビリテーションチームの構成
- 医師
- 看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
活動内容
- 毎朝、多職種によるベッドサイドカンファレンスを行い、状態に応じたリハビリ内容になっているかを検討し、ICUスタッフ内で情報共有を行います。
- 理学療法士・作業療法士は、日々、患者さんの意識・精神状態や呼吸の状態、筋力などの身体機能の確認を行い、患者さんの変化に合わせて必要なリハビリを行います。
- まずはベッド上での呼吸リハビリ、手足の運動から開始することが多く、状態の改善をみながら、座る練習、立つ練習へと進めていきます。
- 看護師は日々のケアや看護の中に、関節を動かす運動や筋力トレーニングを取り入れ、整容や更衣といった動作が自分でできるよう援助しています。
- ICU退室後の離床やリハビリの継続がスムースに行えるよう、主治医や病棟看護師、リハビリスタッフに情報提供を行っています。
SCU 早期離床・リハビリテーションチーム
脳卒中ケアユニット(SCU:stroke care unit)では、脳卒中急性期患者に対し、機能の損失や減退の予防・回復に向けて、「SCU早期離床・リハビリテーションチーム」を立ち上げました。
チームは医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士からなり、当該患者の状態を把握・評価し、安全管理を行った上で、早期離床・リハビリテーションの計画を協働で立案しています。
SCU 早期離床・リハビリテーションチームの構成
- 医師
- 看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 社会福祉士
活動内容
- 脳卒中ケアユニット内で実施される多職種カンファレンスで、早期離床・リハビリテーションの方針を決定します。
- 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、患者の意識状態、上下肢の麻痺、高次脳機能障害、言語障害を評価し、個別に必要なリハビリテーションを提供します。
- 看護師は、日々のケアや看護を通して、リハビリテーションで獲得した日常生活の能力を、普段の生活でも行えるように適切に援助します。
- 脳卒中ケアユニットから一般病棟へ転棟後も早期離床・リハビリテーションの取り組みが継続して行えるように各職種と調整連絡を行います。
院内迅速対応チーム(RRT : Rapid Response Team)
入院患者さんの容体急変をいち早く発見し、早期に医療介入する「院内迅速対応システム」(Rapid Response System :RRS)という安全管理システムがあります。重症患者さんや手術後の患者さん、「何かおかしい」と懸念を持った患者さんを1分間の呼吸数や脈拍、血圧などの項目で評価し、急変の可能性がある場合は、「院内迅速対応システム(RRS)」が起動され、即座に初期対応を行うシステムです。
当院では、入院患者さんの状態悪化や予期せぬ死亡を防ぐことを目的に、「院内迅速対応システム(RRS)」を2020年7月県内で初めて導入し、2023年4月より24時間対応を開始しました。
院内迅速対応チーム(RRT)の構成
・医師(麻酔科、救急部、循環器内科、当直医師)
・研修プログラムを受けた看護師
活動内容
・「院内迅速対応システム(RRS)」起動時に、即時に患者さんの状態を確認・判断し、初期対応を行い、主治医、病棟看護師と連携して治療方針を決定します。
・院内迅速対応チームの看護師は平日は毎日病棟を巡回し、急変リスクのある患者さんのベッドサイドに訪問し、病棟看護師と情報交換や状態確認を行い早期のケアにつなげています。