脳神経外科

概要

脳神経外科は、“脳”という名前がついていますが脳だけでなく神経全般を扱う科です。また“外科”という名前からも外科治療が中心とはなりますが、診療内容は疾患領域の診断、内科治療、手術前後の管理など、治療にかかわる領域すべてにかかわる科です。脳の血管が詰まってしまう脳梗塞や、脳の血管が破れる脳出血、くも膜下出血といった一般的な疾患から、脳動静脈奇形、もやもや病、脳腫瘍、顔面けいれんなどその対象疾患は多岐にわたります。
患者さんにとってはどのような病気が脳神経外科で診てもらえばいいのかわかりにくいと思います。そのため脳や神経の病気かなと思ったら気にせずに脳神経外科を受診してください。
当科の特徴は充実したスタッフ数を誇り、脳外科の手術治療、血管内治療、内視鏡治療といった異なる領域の専門家を揃えていることです。その力を駆使して患者さんに最善の治療を提供したいと考えています。

医師紹介

副院長兼脳神経センター長(脳神経外科代表部長兼務)

西村 真樹 (にしむら まさき)

免許取得年
平成8年
資格
日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会認定脳卒中指導医、日本脳卒中の外科学会技術指導医、京都大学臨床教授、福井大学臨床教授

副部長

取越 貞治 (とりこし さだはる)

免許取得年
平成20年
資格
日本脳神経血管内治療学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医

副部長

北原 孝宏 (きたはら たかひろ)

免許取得年
平成21年
資格
日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医

医師

山本 優 (やまもと ゆう)

免許取得年
平成22年
資格
日本脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本神経内視鏡学会神経内視鏡技術認定医

医師

佐々木 夏一 (ささき なつひ)

免許取得年
平成24年
資格
日本脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医

医師

青山 慎平 (あおやま しんぺい)

免許取得年
平成29年
資格
日本脳神経外科学会専門医

医師

長谷川 貴士 (はせがわ たかし)

免許取得年
平成30年
写真はありません

非常勤医師

戸田 弘紀 (とだ ひろき)

免許取得年
平成5年
資格
日本脳神経外科学会専門医、日本脊髄外科学会専門医、脊椎脊髄外科専門医、日本脳卒中の外科学会技術指導医、日本脳卒中学会認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、京都大学臨床教授、福井大学臨床教授

連携医の先生方へ

脳神経センターでは脳卒中に対する急性期治療だけでなく、頚動脈狭窄症や未破裂脳動脈瘤、もやもや病、脳動静脈奇形といった疾患やまた脳腫瘍に対する治療にもそれぞれの専門家が対応していきます。脳卒中かどうか迷われるような症状のかたについてもお気軽に医療連携室を通じて外来予約をお取りいただければ幸いです。症状に応じて脳神経外科・神経内科の医師が対応し、診察や検査の結果をご報告いたします。緊急性を要すると判断される場合には脳卒中ホットコールに直接ご連絡ください。

その他

診療内容

脳卒中

脳梗塞 内頸頸動脈狭窄症 くも膜下出血 脳動脈瘤 脳出血
脳動静脈奇形 硬膜動静脈瘻 脳静脈洞血栓症 もやもや病 など

脳腫瘍

神経膠腫(グリオーマ) 髄膜腫 神経鞘腫(聴神経腫瘍 三叉神経鞘腫)転移性脳腫瘍 下垂体腺腫 頭蓋咽頭腫 胚細胞腫 頭蓋底腫瘍 脊髄腫瘍

外傷

頭部外傷 頭蓋骨骨折 急性硬膜外・硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫

機能的疾患

三叉神経痛 顔面痙攣

水頭症

正常圧水頭症、続発性水頭症

各疾患について

脳卒中

脳卒中は時間との勝負です。特に脳梗塞は処置が早ければ早いほど後遺症が少なくなります。そのために我々は急性期の脳血管障害に対して、神経内科と合同で脳神経センターを開設し、24時間体制の脳卒中治療を行っています。 発症してすぐのいわゆる超急性期脳梗塞の診断・治療に必要なCT、MRI、脳血管撮影装置を備え、血栓溶解療法から血栓回収療法(詰まった血栓を取り除いで血管を開通させる最新の治療)まで常にできる体制を整えています。またその後の脳梗塞の再発を予防するために頚動脈内膜剥離術、頚動脈ステント留置術、バイパス手術なども行っています。

脳卒中の中に動脈瘤が破裂したり血管が解離したりしてできるくも膜下出血があります。これらに対してもいつでも動脈瘤クリッピング(動脈瘤をチタン製のクリップで直接閉鎖して破裂を予防すること)やコイル塞栓(血管の中から動脈瘤に詰め物をして破裂を予防すること)のどちらも治療もできる体制をとっており、それぞれの患者さんに適した方法を選択し行っています。とくに血管内治療は日々進歩しており、最新の治療を患者さんに提供していきます。

脳出血は脳の中の小さな血管が破れる病気です。血腫が脳を壊してしまうためなかなか完全に回復することが難しいこともありますが、血腫を取り除くことが後遺症の回復に有効な症例もあります。当科ではそういった症例にたいして開頭や内視鏡を使って脳の中の血腫を取り除く治療をおこなっています。ただし一度壊れた脳は改善しませんので脳出血は、起こさないことが肝心です。日ごろから高血圧に対する注意をしていきましょう。

また脳卒中の中には動静脈奇形やモヤモヤ病、硬膜動静脈漏といった珍しい病気が隠れているものも少なくありません。いずれの場合にも適切に原因を診断して最善の治療を提供していきます

脳腫瘍

脳腫瘍は場所や種類によって治療法が全く異なる疾患です。症状は部位によって異なりますので、脳腫瘍に特有な症状はありません。脳の症状は基本的に脳の神経や組織が圧迫されておこりますので脳卒中による症状と区別がつかないこともあります。

脳腫瘍はその種類により適切な治療計画を立てる必要があり、診断が非常に重要です。また部位によっては頭蓋底手術の技術を用いて安全に行う必要があります。当院では画像診断から定位生検、ナビゲーションシステムなどで正確な診断ができるような設備を整えています。また安全な手術ができるように神経モニタリング、脳血管術中イメージング、蛍光腫瘍イメージングなど新しい技術を積極的に導入しています。もちろん脳腫瘍は外科治療だけでは十分ではないことも多く、他科と連携して放射線治療や化学療法についても行っていきます。

外傷

外傷の中で頭部外傷による頭蓋内出血は緊急を要する危険な状態です。外傷の直後は意識が良くてもそれから急速に意識が悪くなる症例もあるため注意が必要です。当院では頭部外傷から多発外傷に至るまで緊急の対応・治療できる体制を整えています。

認知症について

認知症は多くの人が心配している病態でありますが、残念ながら現時点では画期的に治す方法は確立されていません。しかしながら認知症の中に多くはありませんが脳を圧迫する病態により起こっている場合があり、外科的治療により回復する病態があります。以下紹介していきます。

まずは水頭症によるものです。水頭症とは脳の中の脳脊髄液という液が通常より多くたまってしまう病気です。このうち特発性正常圧水頭症といわれるものは原因不明の疾患ですが、ご高齢の方に起こり、歩行障害、認知症、尿失禁などの症状が進行していく病気です。典型的な画像所見や症状、またはタップテストといって髄液をぬくと症状が改善する患者さんには、シャント術という髄液をほかのところへ逃がす手術が有効です。

慢性硬膜下血腫という病気は主に外傷が原因で頭をぶつけた後1~2ヵ月ぐらいかけて少しずつ頭の中に血がたまって脳を圧迫していくものです。通常は軽い麻痺や歩くときに片側に傾くなどの症状で発見されますが、中には認知症のような症状を出すことがあります。この病気についてはたまった血を局所麻酔下で骨に穴をあけて中の血液を洗浄して抜くことによって治すことができます。

また脳腫瘍についても特に良性の腫瘍でゆっくりと脳を圧迫して大きくなったときは認知症のような症状が出ることがあります。腫瘍の種類によって治療法は異なりますが、治療により認知症が改善する可能性があります。

以上のように認知症の全体の数からすれば多くはありませんが、“手術で治せる”認知症もあります。

三叉神経痛・顔面けいれん

三叉神経痛は顔の感覚の神経の病気で、顔を洗ったり歯を磨いたりご飯を食べるときに神経に沿った痛みがおこります。顔面けいれんは顔を動かす神経の病気で、片側の目や口の筋肉が勝手にけいれんしてしまいます。これらの病気は脳腫瘍などが原因となっているものもあるのですが、多くは神経が脳の中で血管に圧迫されておこるものです。脳神経外科でおこなう神経血管減圧術は、手術によりその圧迫を解除するもので根本的に病気を治すことができるという利点があります。ただし手術は侵襲的な治療になりますので薬による治療や、けいれんを抑える注射による治療についても十分な検討のうえで方針を決定していきます。

無症状の病気について

脳ドックやほかの検査によって偶然に頭の病気が見つかることがあります。無症状の場合には基本的には経過観察となることが多くありますが、いくつかの病気には治療が必要です。

未破裂動脈瘤

未破裂動脈瘤とは“まだ”破裂していない動脈瘤で、破裂すると脳卒中の一つであるくも膜下出血をおこす病気です。ただし破裂していなければ特別なものを除いてほとんど症状はありません。破裂するかどうかは未来の話なので予想することしかできませんが、現在わかっていることは動脈瘤の大きさや場所、形によって破裂のしやすさが異なっているということです。大きさだけを言うとだいたい動脈瘤の大きさが5ミリを超えるぐらいになると破裂の確立が高くなってきます。当科では治療だけでなく、動脈瘤の診断や治療方針の相談についてもいつでも診察させていただきます。

無症候性頚動脈狭窄

頚動脈狭窄とは首のところの血管が細くなっていることで動脈硬化によって起こります。脳梗塞や一過性の発作を起こしたものは症候性の頚動脈狭窄といってより積極的な治療が行われますが、無症候で症状がないといっても狭窄が高度なものは将来の脳梗塞を予防するために治療を行ったほうが良いことがあります。多くは内科的な治療を厳密にすることによって脳梗塞を予防できますが、狭窄が進行しているものなどは外科的な治療が必要なものがありますのでご相談ください。

無症候性脳腫瘍、動静脈奇形、もやもや病など

脳腫瘍や脳動静脈奇形やモヤモヤ病といった病気も無症状で発見されることもあります。いずれも症状がなければ経過観察や内服による治療となることもありますが、年齢や病気の性質から将来の危険性を考慮しながら治療方針を決定していく必要があります。

日本脳神経外科学会Japan Neurosurgical Database(JND)の手術・治療情報データベース事業への参加について

当科は、日本脳神経外科学会Japan Neurosurgical Database(JND)が実施するデータベース事業に参加しています。

この事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さんに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。

この法人における事業を通じて、患者さんにより適切な医療を提供するための医師の適正配置が検討できるだけでなく、当科が患者さんに最善の医療を提供するための参考となる情報を得ることができます。何卒趣旨をご理解の上、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

また、患者さんやご家族の方が登録を拒否したい場合はお申し出くださるようお願いいたします。

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当科で行っている臨床研究についてのお知らせ

当院では、通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施します。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入がなく診療情報等の情報のみを用いる研究、余った検体のみを用いる研究は、国が定めた指針「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づき、対象となる患者さま全員の方から個別に、直接同意を得る必要はありませんが、研究に関する情報を公開し、さらに拒否の機会を保証することが必要とされております。これを「オプトアウト」と言います。

オプトアウトを行っている臨床研究は以下の通りです。なお、研究への協力を希望されない場合は、いつでも拒否ができ、そのために診療上で不利益を被ることはありません。研究への協力を希望されない場合は、下記リンク先文書に記載されている担当者までお知らせください。

当院で行っている臨床研究について

外来担当医表

10番ブース
1診 取越(初診・再診) 西村(初診・再診) 交代制 北原(初診・再診) 西村(初診・再診)
2診 長谷川 青山(初診・再診) 交代制 佐々木(初診・再診) 山本(初診・再診)
午後
(13:00~15:00)
  【脳卒中相談窓口】 【脳卒中外来】

【脳血管内治療外来】

【脳卒中相談窓口】

【脳卒中相談窓口】火・金 13:00~14:00 ※完全予約制