整形外科について
整形外科は運動器疾患・外傷の治療を行っています。当科では地域の中核病院の一つとして、整形外科全般に渡り手術による治療および関節リウマチ患者さんの薬物治療を行っています。治療としては、適切な診断、わかりやすいインフォームドコンセント、低侵襲の手術を行うようにしており、さらに早期からの適切なリハビリテーションを行うことによる早期回復を目指して整形外科医、理学療法士、看護師のチーム医療による良質で安全な医療を提供出来るように心掛けていきます。また、現在は手術方法および薬物治療の進歩が著しいですが、その高度な専門分野において(人工関節、脊椎、手の外科、関節リウマチ)先進的な医療を提供致します。
地域における当科の役割としては、詳細な検査を行い手術が必要かを見極め、適切な手術を行うこと、更に救急医療を行うことであると考えています。そのため、術後経過は当科で定期的に行いますが、急性期後の回復期、慢性期の診療は地域の医療機関でお願いすることがございます。
当院は現在9名のスタッフで、各々専門分野を持ちながら、幅広い整形外科の診療、治療にあたっています。特に手術に関しては診療科内で毎週カンファレンスを行い、最も適切な治療を行うように心掛けています。
連携医の先生方へ
当科では地域の医療機関の先生方と連絡を図り、地域の患者さんが安心して治療をしていけるように努めて参ります。整形外科は非常に広い疾患範囲をカバーする科ですが、皆様に安心して御紹介頂けるように各々専門を持って誠実に治療にあたるよう努力していきます。ご紹介いただく際は、医師欄の専門分野を参照して御紹介の一助として頂けましたら幸いです。
特に今後、超高齢化社会に伴い高齢の方々の生活の質を維持し、健康寿命を延伸するためには関節疾患の治療は非常に大切だと考えています。従来は「高齢だから痛みは我慢する」という考えの方も多かったのですが、「痛みを早期に治療して元気に老後を暮らしたい!」というように近年は生活様式や痛みに対する考え方が大きく変化し多様化しています。このような多様なニーズに対して個々の患者さんに寄り添った専門的な治療を行っていきます。
主な疾患
・変形性膝関節症 詳細はこちら
変形性膝関節症
近年の報告によれば日本人の約4~5人に1人が膝関節痛を抱えていると言われています。これは軟骨が痛んでくることによって『変形性膝関節症』によって生じることが多いです。治療としては、『変形性膝関節症』の初期は大腿四頭筋と呼ばれる筋肉の強化やヒアルロン酸の関節内注射が有効です。しかし、進行してしまい、これらの治療にても効果が見られないような患者さんには、当院では手術(人工関節置換術)を勧めています。
当院の人工膝関節単顆置換術の特徴
膝関節の壊れ方が部分的な場合は、この痛んだ部分のみを手術する人工関節単顆置換術を行っております(図1) 。術後の回復が早く、動きが良いのが特徴です。この手術の適応となる方は、手術前から膝の動きが良いことが多く、術後も正座まで出来る人もいます。
当院の人工膝関節全置換術の特徴
一方、膝の多くの部分が傷んでしまった場合は人工関節全置換術を行っています(図2) 。当院では、各々の患者様に一番適した機種を術前に考慮して選んでおります。また近年の研究によれば、患者さん各々で手術前の膝の形態は少しずつ異なっており、その術前形態に応じてインプラント設置法を変えて手術した方が術後経過が良いと報告されています(パーソナルアライメントという考え方)。そこで当院では、この考えに基づき患者さんの個別の膝の形態に応じて人工関節手術を行っています。
また筋肉を切らない特殊なアプローチを採用し、出来るだけ最小侵襲での手術を行っています。また両膝の変形が強い場合は、両側同日の手術も行っています。
・変形性股関節症 詳細はこちら
変形性股関節症
股関節は負担のかかりやすい関節で、歩くだけでも自分の体重の3倍ほど、階段昇降では6~8倍かかると言われています。よって一旦、軟骨がすり減ってしまう『変形性股関節症』 や『関節リウマチ』の進行期になってしまうと、歩こうとする程、軟骨が擦り減ってしまうという悪循環が起こってしまいます。これに対する治療として、病状が進行していない場合は筋力運動訓練などのリハビリテーションは効果的です。しかし、これらの治療にても効果が見られないような患者さんには、当院では手術(人工関節置換術)を勧めております(図1) 。
当院の人工股関節置換術の特徴
人工関節手術において最小侵襲手術というと、皮膚の切る量を少なくした手術を示すものと思われることが多いですが、当院では本当の意味での最小侵襲手術、つまり股関節周囲の筋肉、および関節周囲の組織をほぼ傷つけることなく股関節にアプローチするという人工関節手術を行っています(図2) 。これは前方侵入法による最小侵襲手術と呼ばれています。利点は、筋肉を切らないことにより、早くからリハビリを進めることができ、術後の回復も非常に早くなります。また手術後の姿勢の制限が無いために正座をして頂くことも可能です。基本的には、術後自動車、自転車等にも制限はありません。また、ゴルフ、ゲートボール等のスポーツをして頂くことも可能です。
・外反母趾 詳細はこちら
外反母趾
外反母趾の症状
- 靴を履くと親指の足の付け根が当たって痛む
- 親指の付け根が赤く腫れている
- 親指、他の指が変形してしまい、ヒールの靴や普通の靴が履けない
- 足の裏にタコができている
検査、診断
- 外見からも診断できますが、重症度を見るために、レントゲン、CT等を行います
- レントゲンで第1中足骨と第1基節骨のなす角を外反母趾角と称し、15度までを正常、15-30度を軽度、30-40度を中等度、40度以上を重度としています。
- 第1中足骨、第2中足骨のなす角度、M1M2 は10度までを正常としています。
- 変形が強いと2番目の足の指の上に母趾が乗ることもあります
治療について
保存療法
- 足の変形の進行や、痛みを減少させるために、足の指のストレッチや、厚底や幅広の靴の着用を推奨します。装具や,足底板を用いることもあります。
軽度から中等度
- 2016年よりDLMO法による手術を施行しています
重度
- Scarf変法を用いた手術を施行しています
●外反母趾、足の変形、または胼胝(たこ)でお困りの方は御相談ください
・変形性肩関節・肘関節・手関節・足関節症
・手根管症候群、肘部管症候群
・頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症性脊髄症、頸椎症性神経根症、
・頸椎後縦靭帯骨化症
・腰部脊椎管狭窄症、腰椎すべり症
・腰椎椎間板ヘルニア
・膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスとその合併症)
・四肢長幹骨・関節内骨折
・骨折後合併症(偽関節、遷延治癒、変形治癒)
・肩関節脱臼(腱板損傷を含む)
・膝半月板損傷 など
特色
脊椎外来
内容:最近、肩から手にかけて、あるいは腰から足先にかけて痺れ痛みが続く、歩くと足が痺れるといった症状にお困りの方はご相談ください。
曜日:火曜日/三井Dr. 金曜日/岡江Dr.
関節外来
曜日:月曜日/淺野Dr. 火曜日/石川Dr.
詳細はこちら
はじめに
何歳になっても自分のことは自分でする。できるだけ長く仕事や趣味を続けたい。これらの願いを叶える為には健康であることが大切であり、特に自分の脚(股、膝関節)で歩けることはとても重要です。最近の研究によれば、歩くことが認知症を予防する効果があるということもわかっています。つまり、いつまでも自分の脚で歩けることが認知症になることを防ぐとも言えるでしょう。
特に股関節や膝関節痛があると、これまで当たり前にできていたことができなくなることが多くなります。そして痛みがあれば、旅行や外出するのが辛くなり、家に閉じこもりがちにもなります。そうなると、最終的には介護が必要となり、自立した生活は困難になることが多くなります。即ち、これから来たる高齢化社会において、健康かつ、生きがいを維持する生活を送る為には、脚(股、膝関節)の痛みを減らすことはとても大切です。当院では皆様の様々なご希望に沿った治療を提供出来るように努めて参ります。
担当医より一言
いつまでも自分の脚で歩けることは、認知症を防ぐ観点からも非常に大切です。豊富な経験を基に、皆様が健康かつ、生きがいを維持できる生活を送れるようなお手伝いをしたいと思っております。関節痛のある方は、お気軽にかかりつけ医にご相談のうえ、関節外来(石川、淺野)の受診を検討してみてください。また術後不安のある方も遠慮なく、いつでも再診してください。
福井赤十字病院 整形外科 代表部長 石川 正洋
リウマチ外来
内容:朝に続く手のこわばり、膝、股関節、その他関節の痛みのため、日常生活でお困りの方はご相談ください。特に妊娠希望の患者さんや、外反母趾などでお悩みの方はぜひご相談ください。
曜日:月曜日/森瀬Dr.
手の外科外来
内容:手は日常生活において欠かすことの出来ない身体の一部です。指の痛み、引っ掛かり、昔の怪我による手指の不自由でお困りの方はご相談ください。
曜日:水曜日/高嶋Dr.
肩の外来
内容:慢性的な肩の痛み、肩を上げにくいなどの症状がある方はご相談ください。
曜日:水曜日/相模Dr.
骨粗鬆症外来
内容:歳を重ねていくにつれ、ご自身の骨の強さに不安をお持ちの方、ある日思わぬことで骨折してしまった方、一度あなたの骨の強さを確認してみませんか。
曜日:金曜日/高嶋Dr.
スポーツ外来
内容:テニス、サッカー、ラグビー、野球に相撲など。まだまだ現役でバリバリやりたい方。現役は引退したけれども趣味で続けたい。でも、不安が残るという方はご相談ください。
曜日:木曜日/淺野Dr.
医師紹介
代表部長
石川 正洋 (いしかわ まさひろ)
- 免許取得
- 平成12年
- 専門分野
- ・膝関節(特に人工関節)
・股関節(特に人工関節)
- 資格
- ・日本整形外科学会専門医
・日本整形外科学会認定リウマチ医
・日本人工関節学会認定医
・日本リウマチ学会専門医
・福井大学臨床教授
部長(リハビリテーション科代表部長兼務)
淺野 太洋 (あさの たいよう)
- 免許取得
- 平成3年
- 専門分野
- ・膝関節(特に人工関節)
・股関節(特に人工関節)
・スポーツ
- 資格
- ・日本整形外科学会専門医
・日本整形外科学会認定リウマチ医
・日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
リハビリテーション科部長
高嶋 理 (たかしま おさむ)
- 免許取得
- 平成3年
- 専門分野
- ・手の外科
- 資格
- ・日本整形外科学会専門医
副部長
相模 昭嘉 (さがみ あきよし)
- 免許取得
- 平成17年
- 専門分野
- ・スポーツ
・肩の外科
- 資格
- ・日本整形外科学会専門医
・日本整形外科学会認定リウマチ医
医師
森瀬 博子 (もりせ ひろこ)
- 免許取得
- 平成14年
- 専門分野
- ・関節リウマチ
・関節
・足の外科
- 資格
- ・日本整形外科学会専門医
・日本整形外科学会認定リウマチ医
・日本リウマチ学会専門医
・日本リウマチ学会登録ソノグラファー
・日本整形外科学会認定スポーツ医
医師
仲谷 健次 (なかたに けんじ)
- 免許取得
- 平成23年
- 専門分野
- ・関節外科
医師
岡江 優 (おかえ ゆう)
- 免許取得
- 平成23年
- 専門分野
- ・脊椎
・関節外科
- 資格
- ・日本整形外科学会専門医
医師
三井 俊裕 (みつい としひろ)
- 免許取得
- 平成29年
- 専門分野
- ・脊椎外科
- 資格
- ・日本整形外科学会専門医
医師
平山 和秀 (ひらやま かずひで)
- 免許取得
- 令和4年
- 専門分野
- ・外傷外科
外来担当医表
2番ブース | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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1診 |
淺野(初診) 【関節外来】 |
石川(初診) 【人工関節外来】 |
相模(初診) 【肩の外来】 |
森瀬(初診) 〈足・リウマチ〉 |
岡江(初診) 【脊椎外来】 |
2診 |
森瀬 【リウマチ外来】 |
相模 〈スポーツ・肩〉 |
高嶋 【手の外科】 |
淺野 【スポーツ外来】 |
石川 〈人工関節・リウマチ〉 |
3診 |
仲谷 〈関節〉 |
岡江 〈脊椎・関節〉 |
三井 〈脊椎〉 |
仲谷 〈関節〉 |
高嶋 【骨粗鬆症外来】 |
5診 |
|
三井 【脊椎外来】 |
平山(午前) 〈外傷〉 |
【 】専門外来 〈 〉専門分野を表示しております。