脳神経内科について
主に脳卒中、認知症、パーキンソン病、てんかん、片頭痛、神経免疫疾患などに対する治療を行っています。
脳卒中の治療は、脳神経外科と共同で北陸最大級の脳卒中センター(SCU)を運営しています。
<【看護部ブログ脳卒中センターの紹介2021年8月30日><ほやほやVol.72>
認知症の診療は、診断、治療、ご家族への介護指導を行っています。特にご家族を困らせる症状がみられる患者さんに対しては、認知症認定看護師が個別に介護指導を行っています。またご高齢の患者さんが多いため、ACP(アドバンス・ケア・プランニング:人生会議)も積極的に取り組んでいます。新規治療薬としては、2023年に使用可能になった軽症アルツハイマー病の治療薬も当院で開始可能です。
パーキンソン病の治療は内服による薬物療養のほか、最先端のレボドパ・カルビドパ配合経腸用液療法やホスレボドパ・ホスカルビドパ水和物注射液持続皮下注療法を行っています。また県内では唯一、パーキンソン病教育入院のプログラムを実施しています。10日間の入院期間中に、パーキンソン病の症状に合わせた体操と病気の知識などを一緒に学んでいただいています。
てんかんの診療は、てんかん学会専門医が中心となり行っています。難治性てんかんの患者さんも多く受診されています。
片頭痛、群発頭痛など、頭痛でお困りの患者さんには、頭痛学会専門医による頭痛外来を開設しています。トリプタンやジタンなどの急性期治療薬や、2021年から使用可能になったCGRP抗体製剤などの予防薬を用いた治療も行っています。<ほやほやVol.84>
神経免疫疾患(多発性硬化症、視神経脊髄炎、重症筋無力症など)の治療にも積極的に取り組んでおり、各種の新薬も導入しています。
連携医の先生方へ
脳卒中が疑われた場合は、外来、救急外来どちらの時間帯でも受け入れ可能です。できるだけ早期の受診をお勧めください。
認知症、てんかん、片頭痛、パーキンソン病や神経難病・筋疾患などが疑われる場合もご紹介いただけましたら幸いです。
日本臨床倫理学会の臨床倫理認定士が患者さんを取り巻く臨床倫理の問題に取り組んでいます。
主な疾患
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脳卒中 詳細はこちら
脳卒中
脳の血管が詰まったり破れたりして、脳の一部が損傷を受ける病気です。
- 脳梗塞(のうこうそく): 脳の血管が詰まって血流が止まり、脳細胞が酸素や栄養を得られなくなることで起こります。動脈硬化症や心臓の中の血栓(血の塊)が原因となります。
- 脳出血(のうしゅっけつ): 脳内の血管が破れて出血することで、脳の組織が圧迫され、神経細胞の機能が低下します。高血圧が主な原因です。
- くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ):主に脳動脈瘤(脳の血管の一部が風船のように膨らんだ状態)が破裂することが原因です。突然の激しい頭痛で発症します。脳神経外科で治療します。
これらのいずれも早急な対応が必要で、治療が遅れると重い後遺症が残ったり、生命に関わる可能性があります。そのため、何時でも迅速に対応できる体制を整えています。
令和5年度 脳卒中入院実患者数:147名
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認知症 詳細はこちら
認知症
一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続性に低下し, 日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態です。認知症を来す疾患は多彩ですが、最も多い原因はアルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症は、特に記憶が悪くなることが特徴です。例えば、最近の出来事をすぐに忘れてしまったり、知っている場所でも迷ってしまったりします。また、計画を立てたり、物事を順番に進めるのが難しくなり、物の場所がわからなくなるなどの問題も出てきます。早い段階から、買い物や料理といった日常の複雑な作業がうまくできなくなることも多いです。
さらに、気持ちや行動に変化が現れることもあります。例えば、何をするにもやる気がなくなったり、興味を持たなくなったり、身近な人が自分の物を盗んだと思い込むことがあります。時には、見えていないものが見える幻視や、目的なく歩き回る徘徊、落ち着きがなくなるなどの症状も見られます。こうした症状が加わることで、介護やサポートが必要になることが増えていきます。認知症の進行をできるだけ緩やかにする薬を使用したり、社会資源の利用を勧めて、ご本人とご家族がより生活しやすい環境調整を行います。
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パーキンソン病 詳細はこちら
パーキンソン病
超高齢化社会を迎えた日本では、国民の1000人に一人はパーキンソン病の患者さんがいると言われています。主な発症年齢は50代~60代で、病気そのものを治してしまうことはできませんが、しっかりと通院を続ければ発症後15~20年間は病気をコントロールして日常生活を送ることができます。当院では最新の治療やリハビリテーションを含めて、多職種で連携してご病気のサポートを行っております。
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てんかん 詳細はこちら
てんかん
脳の電気的な信号の異常によって、突然けいれんや意識の変化が起こる病気です。てんかんは子どもから大人までどの年齢でも発症し、原因は脳のけがや病気、時には原因不明の場合もあります。薬で発作をコントロールでき、日常生活を普通に送る人も多いです。
令和5年度 てんかん入院実患者数:44名
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片頭痛 詳細はこちら
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多発性硬化症
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視神経脊髄炎
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重症筋無力症 等
特色
頭痛外来(完全予約制)
頭痛専門医による頭痛外来を開設しています。
片頭痛は生活の質を著しく低下させる疾病であり、国内には約1000万人の患者がいると推定できます。20~50歳代の働き盛りの世代の方にとって、日常生活への疾病負担が最も大きい神経疾患となっていますが、病院受診率が低いことも知られています。当院では女性の頭痛専門医が診察を行っており、女性に多い疾患である片頭痛について相談しやすい専門外来を目指しております。2021年に登場したカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連抗体薬を用いた予防治療を適切に行えば「頭痛の無い生活」をおくれる方も増えています。頭痛は「治らない」ものとあきらめていた方、これまで治療効果が不十分であった方も、気軽に相談できる窓口として頭痛外来をご利用ください。
令和5年度頭痛外来紹介患者数:64名
【診察日】毎週月曜日・木曜日(祝日を除く)午後 【受診方法】完全予約制となっております。以下のいずれかの方法でご予約ください。
【担当医】脳神経内科部長 早瀬 史子(日本頭痛学会頭痛専門医) |
アルツハイマー病に対するレカネマブ(レケンビ®)治療について
アルツハイマー病は、 脳内にアミロイドβ(ベータ)と呼ばれる蛋白質がたまることによって、物忘れなどの症状が出る病気です。2023年12月20日に脳内のアミロイドβがたまるのを減らす「レカネマブ」が発売になりました。
2週間に1回、1年半点滴するおくすりで、軽度認知障害(MCI)(※1)または軽度アルツハイマー病患者さんが対象です。残念ながら中等症以上の患者さんは対象になりません。
投与開始前にはMRI、アミロイドPET(※2)または髄液検査等の検査を行います。効果としては、症状を改善することは難しいのですが、治験では1年半の投薬で、進行を半年程度遅らせる効果が確認されました。
合併症としては、注入に伴う反応とアミロイド関連画像異常(ARIA)があり、定期的に頭部 MRI検査を行い、副作用がないかを確認します。
「レカネマブ」の希望がある患者さんは検査・説明をいたしますので、かかりつけ医を通じて当院脳神経内科に受診をお申し込みください。
※1 軽度認知障害(MCI)とは
軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)は、正常と認知症の中間の状態です。記憶力が低下し、ご本人またはご家族によるもの忘れの訴えがあるものの、日常生活への影響はないか、あっても軽度のものです。
もの忘れにより、今まで苦もなくやっていたことが上手くいかなくなったり、失敗したりすると、ご本人は何となくおかしいと感じ始めます。客観的には認知機能・生活機能のいずれも問題ないものの、ご本人の中で以前と比べて認知機能の低下を感じる主観的認知障害がMCIの前にあらわれます。 MCIの初期では、ご本人自身が認知機能の低下を自覚しやすいため、病院を受診し、かかりつけ医に症状を訴えることがあります。しかし、認知機能障害が進行していくにつれて、徐々に認知機能障害の自覚は乏しくなります (図1)。言われても思い出せないもの忘れが重なり、やり場のない怒りや不安、悲しみといった感情から、「私は忘れていない」と主張したり、言い繕いをしたりする場合もあります。
こんな症状が見られたら軽度認知障害(MCI)かも?
□ 何度も同じことを尋ねる
□ 物の名前が出にくくなった
□ 物を探し回るようになった
□ 整理整頓が難しくなり部屋が散らかるようになった
□ 道に迷うなどの経験をした
□ 料理の味付けが変わった、同じメニューが増えた
□ 約束を忘れてしまうことが増えた
レカネマブの治療にご興味のある方はかかりつけ医を通じて当院脳神経内科に受診をお申し込みください。
中等度、⾼度の認知症(項⽬に該当する場合はレカネマブの適応基準から外れる場合があります)
以下の⽣活レベルをご参考にしてください。
【中等度の認知症の⽣活レベル】
□介助なしでは状況に応じた適切な洋服を選べない
□⾦銭管理が難しくなる
□⾷事の⽀度が難しくなる
【やや⾼度の認知症の⽣活レベル】
□着⾐が⼀⼈でできない
□トイレ・入浴に介助が必要
※2 アミロイドPETとは
脳内にアミロイドβ(ベータ)が蓄積されているか調べる検査です。
出典 : 核医学検査の手引き アミロイドPET検査 検査を受けるにあたって
作成 : 日本メジフィジックス株式会社、一部改変
画像提供・監修 : 東京都健康長寿医療センター 認知症未来社会創造センター 副センター長 石井 賢二 先生
医師紹介
【科長】 副院長(脳神経内科代表部長兼務)
髙野 誠一郎 (たかの せいいちろう)
- 免許取得
- 昭和63年
- 専門分野
- ・臨床倫理
- 資格
- ・日本神経学会神経内科専門医、指導医
・日本内科学会認定内科医、総合内科専門医
・日本脳卒中学会専門医、指導医
・日本認知症学会専門医、指導医
・日本プライマリケア連合学会認定プライマリケア認定医
・日本臨床神経生理学会指導医
・日本医師会認定産業医
・京都大学臨床教授
・福井大学臨床教授
部長
今村 久司 (いまむら ひさじ)
- 免許取得
- 平成14年
- 専門分野
- ・てんかん
- 資格
- ・日本神経学会神経内科専門医、指導医
・日本内科学会認定内科医、総合内科専門医
・日本てんかん学会認定専門医、指導医
・日本臨床神経生理学会指導医(脳波)
部長
早瀬 史子 (はやせ ふみこ)
- 免許取得
- 平成11年
- 専門分野
- ・頭痛
・認知症
- 資格
- ・日本神経学会神経内科専門医、指導医
・日本内科学会認定内科医、総合内科専門医
・日本認知症学会専門医、指導医
・日本認知症予防学会認知症予防専門医
・日本頭痛学会頭痛専門医
・日本医師会認定産業医
医師
山中 治郎 (やまなか はるお)
- 免許取得
- 平成25年
- 専門分野
- ・てんかん
- 資格
- ・日本神経学会神経内科専門医
・日本内科学会認定内科医
医師
福永 晃久 (ふくなが あきひさ)
- 免許取得
- 令和2年
- 専門分野
- ・神経内科全般
医師
梁 成吾 (やん そんお)
- 免許取得
- 令和3年
- 専門分野
- ・神経内科全般
外来担当医表
10番ブース | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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6診 | 髙野(初診) | 髙野(再診) | 髙野(初診) | 梁(初診・再診) | 髙野(再診) |
7診 | 山中(初診・再診) | 今村(初診) | 今村(再診) | 今村(再診) | 今村(初診) |
8診 | 早瀬(再診) | 早瀬(初診) | 福永(初診・再診) | 早瀬(再診) | 福永(初診・再診) |
午後 | 早瀬(再診)/頭痛外来 | 今村(再診) | 今村(再診) 早瀬(再診)/頭痛外来 |
備考
【もの忘れ外来】
もの忘れに関する診療も脳神経内科では行っています。
ご心配な方は、可能な限り紹介状をもって、通常の診療日に受診してください。
【頭痛外来】
月・木 ※完全予約制