形成外科

概要

形成外科では顔や体表の「変形・醜状」を主に外科的手段を使って治療しています。「変形・醜状」ができる原因には大きくわけて3つあります。1つめは外傷(けが)、2つめは先天異常(生まれつきの変形)、3つめは腫瘍(できもの)やその手術後の欠損などです。

医師紹介

副部長

寺村 あずみ (てらむら あずみ)

免許取得年
平成15年
資格
形成外科専門医、小児形成外科分野指導医、日本形成外科学会再建・マイクロサージャリー分野指導医

連携医の先生方へ

顔面骨骨折、広範囲熱傷などをはじめとする外傷治療のほか、形成外科一般の疾患、乳腺外科と協力して乳房再建を行っております。他科で手術後のケロイド・肥厚性瘢痕、瘢痕拘縮についても侵襲の低い保存的治療から放射線科と連携し電子線治療を行っています。小児の患者さんの場合は14歳まで全例小児病棟に入院し、体調不良時や全身管理などに関しては小児科医師による24時間バックアップを受けています。特に3歳以下は全例、気管支喘息など基礎疾患を持つ小児患者さんについても小児科と当科の主治医2人体制で担当しますので、安心して入院生活を送っていただけます。

その他

1. 外傷

顔面骨折、ケガ、ヤケドなどの初期の治療や、その後の「きずあと」が目立たないようにする治療を行っています。

2. 瘢痕

(1)瘢痕拘縮

人の体にできた傷は、収縮して治ろうとする特性があります。傷の方向によっては、収縮して治ろうとする過程でひきつれを起こすことがあり、これを瘢痕拘縮と呼びます。瘢痕拘縮は起こる部位によって、以下のような症状を引き起こします。

眼瞼 結膜の外反(外側にめくれた状態)、閉瞼障害
口唇 口唇の外反、口周囲に生じると開口制限。口角の位置異常
口唇 口唇の外反、口周囲に生じると開口制限。口角の位置異常
鼻翼の位置異常、鼻腔狭窄
頸部 下顎頸角の拡大、運動障害
胸部 胸壁の運動制限、時に痛み、乳房発育障害
腹部 躯幹の伸展制限、時に痛み
四肢関節 関節の運動障害、屈曲変形
手指 指の運動障害、水かき形成
外陰部 陰茎の短縮、変形

(日本形成外科学会HPより掲載)

瘢痕拘縮は痛みや変形など、様々な症状を引き起こします。肘や膝などの関節上にできた場合は、関節を動かした際の痛みだけでなくそれに伴う可動域制限(機能障害)を合併することがあります。さらにあらゆる体表面、特に顔面においては拘縮に伴う醜状変形などを合併することがあります。

当科ではこれらの瘢痕拘縮に対して、外科的にその傷の長さを延長することでひきつれを軽減し、痛みや可動域制限を除去する手術を行っております。また、同時に傷の方向を変えて人間の皮膚の皴の方向に近づけることで、傷そのものを目立たなくし(消えることは決してありません)、醜状変形をなるべく元の形に近い状態にする手術も行います。

(2)肥厚性瘢痕・ケロイド

怪我や熱傷、手術の痕などが赤みを帯びて固く盛り上がったものを、肥厚性瘢痕と呼びます。肥厚性瘢痕は、時に痛みやかゆみを伴い、また前述した拘縮(ひきつれ)を合併することもあります。肥厚性瘢痕の治療法としては、以下のようなものがあります。

①手術療法

瘢痕を切除し、形成外科ならではの縫合の技術できれいに縫い直します。また前述した通り、傷の長さを延長することでひきつれを軽減し、傷の方向を変えることで傷そのものを目立たなくさせることも行います。

②薬物療法

ステロイドにより、赤み、盛り上がり、硬さを軽減することができます。またつっぱり感や痛み、かゆみなどの症状も軽減することができます。ステロイドには貼り薬、飲み薬、注射の3種類があります。

③圧迫、固定療法

傷の時期によっては、テープやスポンジでの圧迫により、傷の盛り上がりを軽減することができます。

また、体質によっては傷あとが治りにくい場合があり、そのような傷あとをケロイドと呼びます。ケロイドは肥厚性瘢痕とは違い、もともとの傷を越えて大きく盛り上がり、消退傾向を示さないという特徴があります。

ケロイドに対しては、手術+放射線療法にて一定の効果を挙げることができます。またそれ以外にも、上記の肥厚性瘢痕の治療に準ずる治療も行っております。どの治療法を行うかは、傷の大きさや形状により様々です。

耳介ケロイドの治療例

ピアスの穴から発生したケロイドです。このように、きっかけのはっきりしているケロイドの多くは、手術できれいに治せる可能性があります。

3. 先天異常

口唇口蓋裂などの口の異常、耳やまぶたの異常、臍突出、手足の奇形といった先天性の体表異常について、成長に伴う機能的・心理的側面にも配慮した治療プランを立てています。

対象疾患:口唇裂、口蓋裂、鼻咽腔閉鎖不全、顔面裂、小耳症、埋没耳、折れ耳、副耳、耳瘻孔、眼瞼下垂、眼瞼内反症、臍ヘルニア、多指症・多趾症、合指症・合趾症 など

口唇裂の治療例1

唇顎口蓋裂を認めます。口唇裂は生後3ヶ月・6kgの頃を目安にして手術を行います。成長障害を考慮して初回治療ではなるべく軟骨操作を加えないようにしているため鼻変形は残ります。口蓋裂は1歳3ヶ月頃に行います。鼻の手術は成長をみて治療時期を決定します。

口唇裂の治療例2

両側の完全唇顎口蓋裂を認めます。当院では両側例については両側を同時に形成する手術法を取っています。

唇裂・口蓋裂手術の他、顎裂の骨移植、鼻咽腔閉鎖機能不全、唇裂術後変形、唇裂鼻変形などの治療も行なっています。

元の施設への通院が困難になった、他院で治療を受けたが変形が気になる、など以前に他院で治療を受けた方・大人の方でも相談を受け付けております。

埋没耳の治療例

耳介の上端が埋没しております。このままでは見た目だけでなく将来メガネやマスクがかけづらいなどの支障を伴います。幸い早期の受診をされたため手術を行わずに治療ができました。適切な治療時期を過ぎてしまった場合は手術的治療を行ないます。

眼瞼下垂症の治療例

先天性眼瞼下垂症を認めます。眼瞼挙筋(まぶたを挙げる筋肉)の短縮手術を行うと楽に目を開ける事ができるようになります。眼瞼挙筋の機能が弱い場合は、ふとももの筋膜を用いた形成術を行います。

4. 皮膚腫瘍など

皮膚の良性・悪性腫瘍(皮膚癌)などの皮膚外科治療を行なっています。また、手術に伴う組織欠損・変形(例えば乳癌の手術後)などに対して見た目をきれいに戻すような治療も行います。

[保険診療として行っています。美容外科ではありませんので、きれいにする治療として特別料金が発生する事はありません]

特に眼瞼や鼻、口、耳など、顔面に生じた腫瘍は、切除に伴う傷跡や変形が問題となりやすい部位です。閉鎖方法に問題があればひどい変形が残る事もあります。また、変形を少なくするために不充分な切除で終わってしまう危険性もあります。

形成外科ではこのような事が起こらないように、腫瘍の充分な切除はもちろんの事、いろいろな閉鎖方法の中から、変形や手術跡が極力目立たない方法を一人一人の個人差に合わせて選択しています。

5. 再建

顔面の皮膚癌や口腔癌の切除手術が必要となったり、乳癌の切除後または切除予定となった方に対して、変形・欠損などに対する治療の相談を行います。

傷跡や変形が目立たなくなるような工夫(再建)について、よりよい治療を目指しております。

(初めて受診される方は院内・院外の皮膚科や外科などから紹介状を頂くか、前もって一度電話でご相談ください)

顔面の皮膚悪性腫瘍の治療例

右下眼瞼の皮膚悪性腫瘍の切除を行いました。生じた大きな欠損には周囲からの皮弁を移動して閉鎖しました。単に被覆するだけの皮膚移植(植皮)とは違い術後の傷跡はほぼわからなくなります。眼瞼の変形も認めません。

乳房再建例

乳がんの切除と同時に再建を行ないました。切除によって平坦になってしまう胸を腹部からの再建により再現します。乳輪乳頭についてはバランスを考慮する必要があるため約1年経ってから手術を行います。(この方は現時点では貼り付けるタイプの人工物で代用されています)

術前

乳がん切除後

再建術後

6. 眼瞼下垂症

加齢やコンタクトレンズの長期使用などによって、上まぶたを挙げる筋肉が薄くなったりすることで起こってきます。手術で、眼瞼挙筋(まぶたを挙げる筋肉)を瞼板(まぶたの支持組織)に固定することで、視野が広くなり、見えやすくなります。

7. レーザー

当科では、JMEC社製のQスイッチルビーレーザー(The Ruby Z1)とLumenis社製CO2レーザー(Acu Pulse)を導入しており、幅広い皮膚腫瘍に対して幅広くレーザー治療を行っております。

(1)Qスイッチルビーレーザー

現在保険適応なのは太田母斑(顔の青あざ)、異所性蒙古斑(四肢・体幹の青あざ)、外傷性色素沈着(外傷時の異物混入による刺青)、扁平母斑(茶色いあざ)です。照射時にはゴムではじくような痛みがあるので、範囲の広い場合や皮膚の薄い部位の場合は局所麻酔のシールを貼ったり注射するなどしてからレーザー照射を行います。

メラニン系の色素斑に対して効果があるため、保険適応ではありませんが、老人性色素斑(いわゆるシミ)、雀卵斑(そばかす)などの治療も可能です。

適応症
保険適応
疾患名  
太田母斑、異所性蒙古斑 青いあざ。メラニン産生細胞の分布異常。
外傷性色素沈着 異物によってさまざまな色調。
外傷時にアスファルトなどが傷の中に入り込み、刺青として残ったもの。
扁平母斑 茶色いあざ。メラニン産生細胞の機能異常。

※太田母斑、異所性蒙古斑に対するレーザーはメラニン産生細胞を直接破壊できるため効果が高いです。
※扁平母斑の場合はメラニン産生細胞を直接破壊できるわけではないので効果が乏しいことがあります。

保険適応ですので、3割負担の方の場合では1回6,000~12,000円(面積による)です。

非保険適応
疾患名 詳細
老人性色素斑 表皮角化細胞が光老化し、メラニンが沈着しています。
レーザーでメラニンを有する病的角化細胞を除去します。
雀卵斑 そばかす。遺伝性があります。
メラニン顆粒の産生が亢進しています。

保険適応ではないため自費での治療となります

料金表(1回につき)
直径4㎜以下 6,480円 4c㎡以下 24,840円
直径7㎜以下 7,560円 5c㎡以下 27,000円
1c㎡以下 8,640円 6c㎡以下 30,240円
2c㎡以下 14,040円 7c㎡以下 34,560円
3c㎡以下 19,440円 8c㎡以下 38,880円
Qスイッチルビーレーザーの適応ではない疾患
疾患名 詳細
肝斑 両側頬部の大きな左右対称な茶色の色素斑です。
炎症後色素沈着 けがをした後などの色素沈着。
これらは逆にレーザー照射で悪化することが多いです。
イチゴ状血管腫
単純性血管腫
原因が血管の異常なため(赤いのはヘモグロビンの色)、ルビーレーザーではなくヘモグロビンをターゲットとしたレーザーが必要です。
メカニズム

レーザーで色素性皮膚疾患を治療する際は、メラニン色素と酸化ヘモグロビン(血液の色)の光吸収度の差が大きい波長領域を使用することで、選択的な治療が可能になるとされています。ルビーレーザー光の波長は694nmであり、この波長では酸化ヘモグロビンへの吸収が低く(赤い色に反応が弱い)、メラニン色素の吸収が高い(メラニン色素に反応が良い)レベルにあることが下の図からわかります。これによりメラニン色素に対して、有効な治療が可能となります。

(JMEC社The ruby Z1のHPより抜粋)

(2)炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)

細胞の水分に反応する波長をもつレーザーで、皮膚組織内の水分に吸収(反応)されますが、そのときに発生する熱エネルギーによって組織の一部を瞬時に気化・蒸散させることによって病変を除去する方法です。大きな腫瘍は適応とはなりませんが、5mm程度までのほくろや腫瘍を蒸散させて削り取る治療です。治療後は擦り傷のような状態になりますが、1週間~10日前後で皮膚が再生します。施術時の出血もほとんどありません。

適応は、ほくろや小さめの皮膚腫瘍や脂漏性角化症など角質病変であり、これらに対してはメスを入れることなく外来にて局所麻酔下にレーザー焼灼が可能です。治療後は、擦り傷ような状態ですので、上皮化するまでの軟膏塗布と術後しばらくの遮光が必要です。ただ少し深いものに関しては一度で焼灼できない場合もありますので、数回のレーザー治療もしくは外科的切除が必要となるケースもあります。

治療費

3割負担、顔面だけの場合 5,000円~13,000円(数による)

症例写真

母斑(いわゆるほくろ)

黒子(ほくろ)

脂漏性角化症

脂漏性角化症(アクロコルドン)

尋常性疣贅

(3)CO2フラクショナルレーザー

一面に照射するのではなく、極めて微細なマイクロメートル単位のレーザー光を一定の間隔をあけて照射し、照射部位とその周囲に微細な熱変性を起こします。照射部位のレーザーの隙間には健常な組織が残存しているため、短時間で創傷治癒がおこなわれます。コラーゲンが収縮し、24時間程度でマイクロメートルの穴は埋まります。創傷治癒が短時間に行われるため瘢痕も生じません。深い位置で皮膚に熱ダメージを加え、収縮させることで、ニキビ跡の凸凹、傷跡、小じわ、毛穴を縮めて治すことができます。固くなった瘢痕に照射することで瘢痕を柔らかくさせることも可能です。

痛みがあるため局所麻酔の注射やテープを張ったのちにレーザーを照射します。照射翌日は小さなかさぶたが付着したりしますが、洗顔・化粧などは可能です。

およそ1か月に1回程度のペースで行います。1回の照射で10%程度の皮膚が入れかわるといわれています。4回程度行うと皮膚の50%が入れ替わると言われています。

合併症としては肌の赤みや熱感、ヒリヒリ感があります。1~2日程度ある場合もあります。色素沈着予防のためしばらく遮光が必要です。

保険適応ではないため自費での治療となります

料金表(1回につき)
直径4㎜以下 6,480円
直径7㎜以下 7,560円
1c㎡以下 8,640円
2c㎡以下 14,040円
症例写真
ニキビ跡

Courtesy of DrYuan Hong, Li

Photos courtesy of Dr. Francesca De Angelis, France

※写真の掲載につきましては、患者さんのご了解をいただいております。

人工乳房・皮膚組織拡張器の乳房再建術

これまで乳房再建術で保険適用となるのは、お腹や背中の組織を利用する自家再建のみでした。2013年7月から人工乳房と皮膚組織拡張術の乳房再建術が保険適用となり、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会が認めた病院で、認定を受けた医師のみ行うことができます。

乳がん治療で乳房を切除した後に、胸の膨らみを取り戻す「乳房再建」には、自分のお腹や背中の組織を移植する方法と、人工乳房を入れる方法があります。当院では外科と形成外科が連携し、患者さんに合わせて再建方法を選択しています。以前の手術で残った変形も治療することができます。

専門医制度と連携したデータベース事業について

「形成外科を受診されている患者さんへ」

我が国の医療の現状(どのような場所でどのような医療が行われているか)を把握するため、一般社団法人を立ち上げ、データベース化を開始することになりました。当院も平成23年1月1日より参加しますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

また、患者さんやご家族の方が登録を拒否したい場合はお申し出くださるようお願いいたします。

詳細はこちら

外来担当医表

10番ブース
3診 交代制        
5診 寺村   寺村   寺村
(午後)5診 外来手術     寺村(予約) 外来手術

備考

  • 木曜日 14:00~16:00(完全予約)
  • 手術日:火曜日(全日)、木曜日(午前)
  • 外来手術日:月曜日・金曜日(午後)