形成外科

形成外科について

形成外科とはどのような科でしょうか?美容形成外科のテレビCMを思い浮かべるなど、一般病院での形成外科のイメージが掴みづらいかもしれません。若い頃、私の師匠に「形成外科とは何なんでしょうか?メジャーな外科と比べると引け目を感じるのですが。」と質問したことがあります。師匠は「直接、命を救っている感覚が薄いのかもしれないけどね、見た目の変形、醜形が原因で外出できない人もいるんだよ。病気で家で寝込んでいる人と外見が気になって家に引きこもっている人、社会的に見たら同じことなんだ。僕たちは外見を治すことで社会的な命を救っているんだ!」と言われ、なるほど!と思い胸を張って形成外科をできるようになりました。そのような変形・醜形を治療するのが形成外科であり、外傷、先天異常、腫瘍や手術後の変形、欠損などが対象です。

連携医の先生方へ

顔面骨骨折、広範囲熱傷などの外傷、眼瞼下垂、眼瞼・睫毛内反症、唇顎口蓋裂、瘢痕拘縮、ケロイド、手の外科、乳房再建、皮膚腫瘍、腋臭症、下肢静脈瘤など様々な疾患の治療をしています。ケロイドに関しては放射線治療科と連携し電子線治療を行っています。小児の患者さんの場合は14歳まで全例小児病棟に入院し、体調不良時や全身管理などに関しては小児科医師による24時間バックアップを受けています。特に3歳以下は全例、気管支喘息など基礎疾患を持つ小児患者さんについても小児科と当科の主治医2人体制で担当しますので、安心して入院生活を送っていただけます。

主な疾患

  • 外傷
    顔面骨骨折
    熱傷
    涙小管断裂・顔面神経断裂などの顔面軟部組織損傷

    陳旧性鼻骨骨折、外鼻変形 詳細はこちら

    陳旧性鼻骨骨折・外鼻変形

    鼻骨骨切り、軟骨移植、骨移植、軟骨の修正などで、鼻の変形を手術により改善させます。必要に応じて東京、京都から専門にしている医師を招聘して合同手術をしています。

    切断指・腱断裂・神経断裂など手の外傷 詳細はこちら

    手の外傷

    手の腱断裂、神経断裂、切断指の手術をしています。切断指の手術に関しては、長時間の手術になるため、他の予定手術次第では対応できないことがあるので事前に連絡をいただけると幸いです。

  • 瘢痕・ケロイド

    瘢痕拘縮 外傷後、熱傷後、手術後の瘢痕拘縮・肥厚性瘢痕・ケロイド 詳細はこちら

    瘢痕拘縮

    拘縮により疼痛、関節の動きが悪くなるなどの症状を認め、手術でZ形成、W形成などの局所皮弁、植皮などを併用して拘縮を解除します。必要に応じて、手術後にシーネ固定やテーピングなどの後療法をします。

    肥厚性瘢痕・ケロイド

    ステロイドの局所注射、圧迫療法、手術+術後放射線照射などで治療しています。

    《耳介ケロイドの治療例》

    手術前

    手術後

  • 先天異常 

    口唇裂、口蓋裂、鼻咽腔閉鎖不全、顎裂 詳細はこちら

    唇顎口蓋裂

    手術時期は口唇形成術は3,4ヶ月、口蓋形成術は1〜1歳半、顎裂腸骨移植術は8〜10歳、最終的な鼻形成は16〜18歳です。

    口唇形成術は状態を見ながらFisher法、Millard+小三角弁法をします。必要に応じて京都大学から唇裂を専門にしている医師を招聘して合同手術をしています。口蓋形成術はなるべく硬口蓋の成長を妨げないようにFurlow法を中心に手術をします。顎裂腸骨移植は永久歯の生え変わる状況を確認しつつ手術時期を決めます。だいたい8〜10歳で手術を行いますが、近年は時期が早まっている印象です。

    最終的な鼻形成は軟骨移植、真皮移植などをしつつ軟骨の位置を修正して形を整えています。難易度が高い場合は東京、京都から専門にしている医師を招聘して合同で手術をしています。

    《口唇裂の治療例 片側唇裂》

    《口唇裂の治療例 両側唇裂》

    小耳症、埋没耳、折れ耳、副耳、耳瘻孔 詳細はこちら

    折れ耳・埋没耳などの耳介変形

    可能ならば生後1,2ヶ月で来院していただけると装具を使用することで手術をせずに治療可能なことが多いです。生後4ヶ月以内なら装具で改善することがあるのでお越しください。それを過ぎると軟骨が固くなり手術で矯正することになります

    睫毛内反症、眼瞼下垂 詳細はこちら

    睫毛内反症 

    小児の睫毛内反症(さかまつげ)は、必要に応じて内眥形成(目の内側の引きつれを解消)をしつつ、Hotz法という睫毛を外側にむける手術をします。

    多指症・多趾症、合指症・合趾症 詳細はこちら

    多合指症

    1~1歳半に手術をするのが一般的です。指の形を整えるとともに、腱、筋肉の位置を必要に応じて移動させ、指を使いやすくします。

    臍ヘルニア  など

  • 皮膚良性腫瘍、皮膚悪性腫瘍 詳細はこちら

    欠損した皮膚軟部組織の再建

    顔面の皮膚癌や口腔癌の切除手術が必要となり切除後の変形・欠損を生じる場合、再建手術をしています。局所皮弁、遊離皮弁などで再建し傷跡や変形が目立たなくなるようにします。(初めて受診される方は院内・院外の皮膚科や外科などから紹介状を頂くか、前もって一度電話でご相談ください)

    《顔面の皮膚悪性腫瘍の治療例》

    右下眼瞼の皮膚悪性腫瘍の切除を行いました。生じた大きな欠損には周囲からの皮弁を移動して閉鎖しました。単に被覆するだけの皮膚移植(植皮)とは違い術後の傷跡はほぼわからなくなります。眼瞼の変形も認めません。

     

  • 加齢性の眼瞼下垂症、眼瞼内反症 詳細はこちら
  • 乳がん手術後の再建 詳細はこちら 
  • 腋臭症 詳細はこちら

    腋臭症

    皮弁法で手術します。高校生以上が対象です。

  • 下肢静脈瘤 詳細はこちら

    下肢静脈瘤

    ストリッピング、硬化療法などで治療します。

  • 下肢難治性潰瘍、褥創 詳細はこちら

    褥創、足の潰瘍

    血行障害、糖尿病の有無を確認し、手術で壊死組織を除去し、適宜局所陰圧閉鎖療法を行います。

  • リンパ浮腫 詳細はこちら

    リンパ浮腫

    顕微鏡を用いて、リンパ管静脈吻合を行います。

  • 血管腫 詳細はこちら

    血管腫

    硬化療法、手術で治療しています。血管腫に対応する色素レーザーは現在当院にないので、適宜他院へ紹介します。難易度が高いと判断した場合は大阪の病院に紹介します。

特色

基本的に2.5倍〜3倍ルーペを使用して丁寧な手術を心がけています。

(手術によっては使用しないこともあります。)

眼瞼下垂

 

眼瞼下垂に対する手術は、当科で特に件数が多いです。まぶたが十分に上がらないことで黒目にかかり、ものが見えにくくなった状態を、「眼瞼下垂症」と言います。黒目の中央にある瞳孔にかかると、かなり見えにくくなります。眼瞼下垂症になった方の特徴的な症状として、おでこにしわが寄る、眉毛の位置が上がる、目の上がくぼむ、二重の幅が広がる、二重のしわの線の数が増える、などの見た目の変化が起こります。またこれらの症状に伴って、眼精疲労、頭痛、肩こり、不眠などの症状が現れることがあります。

 

加齢性眼瞼下垂(腱膜性、皮膚弛緩性)、先天性眼瞼下垂に対して、挙筋前転術、余剰皮膚切除術(眉下切開など)、前頭筋つり上げ術(大腿筋膜移植、ゴアテックス糸)で治療しています。他院で同様の手術や埋没法などをされた場合は難易度が上がりますが、丁寧に残っている糸を除去して癒着を剥離することで、良好な成績を得ています。また、加齢性や先天性以外の原因で眼瞼下垂となっておられる方も、ご相談ください。

 

挙筋前転法

 

 

眼瞼内反症

加齢による眼瞼内反症は、下眼瞼牽引筋の力が弱くなることで生じることがあります。その場合、Jones変法という下眼瞼牽引筋を修復する手術をします。その他、皮膚のたるみを除去する、Hotz法やKhunt-Syzmanowski変法を併用するなど工夫をしています。

乳癌切除後の乳房再建術

施設により上記のどのやり方ができるか決まっていますが、当院には形成外科専門医と乳腺外科専門医が在籍しているので、すべて対応可能です。手術のやり方、時期はどれも一長一短なので、術前に話し合い最もよいと思われるものを選んでいただきます。働いている女性の場合、二次再建(後日再建)は会社に気兼ねをして言い出しにくい印象なので、再建をご希望される場合は一次再建(即日再建)が良いでしょう。

必要に応じて脂肪注入、健側挙上をします。傷が落ち着いたら乳頭形成、タトゥをします。タトゥは自費になりますが、当院で行っています。

《乳房再建例》

乳がんの切除と同時に再建を行ないました。切除によって平坦になってしまう胸を腹部からの再建により再現します。乳輪乳頭についてはバランスを考慮する必要があるため傷が落ち着いてから手術を行います。(この方は現時点では貼り付けるタイプの人工物で代用されています)

手術前

乳がん切除後

再建術後

レーザー治療

JMEC社製のQスイッチルビーレーザー(The Ruby Z1)とLumenis社製CO2レーザー(Acu Pulse)を導入しております。

Qスイッチルビーレーザー

太田母斑(顔の青あざ)、異所性蒙古斑(四肢・体幹の青あざ)、外傷性色素沈着(外傷時の異物混入による刺青)、扁平母斑(茶色いあざ)は保険適応で治療が可能です。

メラニン系の色素斑に対して効果があるため、保険適応ではありませんが、老人性色素斑(いわゆるシミ)、雀卵斑(そばかす)などの治療も可能です。保険適応ではないため自費での治療となります。

料金表はこちら

料金表【1回につき】

直径4㎜以下 6,480円 4c㎡以下 24,840円
直径7㎜以下 7,560円 5c㎡以下 27,000円
1c㎡以下 8,640円 6c㎡以下 30,240円
2c㎡以下 14,040円 7c㎡以下 34,560円
3c㎡以下 19,440円 8c㎡以下 38,880円

炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)

細胞の水分に反応する波長をもつレーザーで、組織の一部を瞬時に気化・蒸散させることによって病変を除去します。ほくろや突出した皮膚腫瘍を蒸散させて削り取ることができます。基本的には自費診療となります。

治療費はこちら

<保険適応> 小さめの皮膚腫瘍、イボ、脂漏性角化症など

 3割負担 5,000円~13,000円(数による)

<保険適応外> ほくろ

 基本料金5,000円、2個目から1個につき3,300円

 ※保険適応かどうかは医師の判断によります。

《黒子(ほくろ)》

《脂漏性角化症》

CO2フラクショナルレーザー

極めて微細なマイクロメートル単位のレーザー光を一定の間隔をあけて照射し、照射部位とその周囲に微細な熱変性を起こします。深い位置で皮膚に熱ダメージを加え、収縮させることで、ニキビ跡の凸凹、傷跡、小じわ、毛穴を縮めて治すことができます。固くなった瘢痕に照射することで瘢痕を柔らかくさせることも可能です。およそ1か月に1回程度のペースで行います。1回の照射で10%程度の皮膚が入れかわるといわれています。4回程度行うと皮膚の50%が入れ替わると言われています。保険適用ではないため自費での治療となります。

料金表はこちら

料金表【1回につき】

直径4㎜以下 6,480円
直径7㎜以下 7,560円
1c㎡以下 8,640円
2c㎡以下 14,040円
《ニキビ跡》

※写真の掲載には患者さんのご了解をいただいております。

医師紹介

【科長】 代表部長

岡本 仁 (おかもと ひとし)

免許取得
平成14年
専門分野
・乳房再建
・眼瞼下垂
・マイクロサージャリー
・瘢痕形成
・小児形成 など
資格
・日本専門医機構認定形成外科専門医
・日本形成外科学会再建、マイクロサージャリー分野指導医
・福井大学臨床教授

医師

加古 絢子 (かこ あやこ)

免許取得
平成26年
専門分野
・眼瞼下垂
・顔面骨骨折
・手の外科
・鼻形成など
資格
・日本形成外科学会専門医

医師

増野 晴子 (ますの はるこ)

免許取得
令和2年
専門分野
・形成一般

外来担当医表

10番ブース
3診

加古

(初診・紹介・再診)

休診

増野

(初診・再診)

加古

(初診・紹介・再診)

増野 

(初診・紹介・再診)

5診

岡本

(初診・紹介・再診)

休診

岡本(第1.3.5週)

(初診・紹介・再診)

 

岡本

(初診・紹介・再診)

備考

  • 手術室手術日:火曜日(全日)、水曜日(偶数・全日)(奇数・午前)、木曜日(午前)
  • 外来手術日:月・水・金