感染管理室

概要

 

2010年4月に感染防止対策室として設置され、2017年4月に感染管理室と名称変更となり、福井赤十字病院におけるすべての感染症の院内外あるいは国内外における感染防止対策を積極的に推進しています。感染管理室長は病院長から感染管理に関する権限を委譲され、感染管理室の責任者として感染対策の総括的役割を果たしています。なお、感染管理室は医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師・事務で構成されています。

院内感染防止対策のために(院内感染対策指針)

1)院内感染対策に関する基本的考え方

(1)病院内は感染が成立するために必要な感染源、感染経路、被感染者(宿主)が集合している場所である。このような環境にあって感染を防ぐために、病院にかかわる全ての人々(職員、患者、家族、学生、ボランティア、外注業者等)を対象とし、感染源、感染経路、宿主の3者について感染管理室を中心に組織的に感染対策に取り組む。

(2)感染防止及び感染拡大防止に関する正しい知識の理解と技術向上のために研修会等を開催し、感染対策に必要な情報を職員が得ることができる環境を整備する。

(3)感染対策は自院だけではなく地域で連携する施設と共に取り組むことが重要であり、地域内でネットワークを構築し、感染対策に取り組む。

(4)赤十字ネットワークを活用し、院内外や国内外における感染対策(感染症に対する抗菌剤の適正使用を含む)にも取り組む。

 

2)院内感染対策のための委員会その他医療機関内の組織に関する基本的事項

(1)感染管理室を中心に、院内感染対策チーム(Infection Control Team)及びリンクナースが連携しながら院内感染防止の徹底及び職員の教育指導等を行う。

(2)抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team)は抗菌薬の適正使用支援、教育および感染症治療体系の構築等を行う。

(3)病院内での取り決めについては、院内感染防止対策委員会へ諮問し、決定する。

(4)必要に応じ院内の衛生委員会、医療廃棄物処理対策委員会、各担当事務部門との連携により感染対策を行う。

 

3)院内感染対策のために従業者に対して行われる研修に関する基本方針

全職員に対して感染症とその予防対策について、継続的に教育することが大切であるため、年2回以上の職員研修を開催する。また、新規採用職員に対し、採用時のオリエンテーションの際に、院内感染対策についての研修を行う。

 

4)感染症の発生状況の報告に関する基本方針

院内において感染症が発生した場合には、院内感染管理マニュアルの発生届出の手順に従い感染症の種類に応じ報告する。

報告の意義

  • 感染の拡大防止
  • 感染症の動向の把握
  • 感染防止対策の立案・指導・改善
  • 発生原因の調査・分析

 

5)院内感染発生時の対応に関する基本方針

院内感染が発生したときには迅速に対応し、院内感染が広がることを防ぐよう情報の収集と追跡調査、感染対策の指導などを行う。

必要に応じ、緊急に対策会議を開催することが出来る。この場合は、院内感染防止対策委員長が、適宜人選し召集する。

 

6)患者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針

本指針は、患者及びその家族からの閲覧の求めがあった場合はこれに応ずる。

 

7)その他の医療機関内における院内感染対策の推進のために必要な基本方針

病院で働く職員の健康管理は院内感染対策として重要である。患者から職員、職員から患者への感染の低減に努める。

  • 職員の感染管理(麻疹・水痘・風疹・流行性耳下腺炎・流行性角結膜炎・インフルエンザなど)
  • EBM(evidence based medicine)に基づいた院内感染防止対策マニュアルの作成と改定
  • 院内抗菌薬使用ガイドラインの作成
  • 各種サーベイランスの実施と結果の現場へのフィードバック
  • 針刺し事故(HBV、HCV、HIV)対策の実施(エピネット報告書の推進、血液曝露防止対策の実施と検討、曝露後の対応)

 

感染管理室の主な活動内容

環境ラウンド

  1. 疫学的な知識に基づく院内感染サーベイランスの実施と結果に基づく改善活動
  2. 最新のエビデンスに基づいた院内感染防止対策マニュアルの作成及び改訂
  3. 職業感染防止対策
  4. 感染防止対策についての啓発教育(全職員対象に年2回の研修実施)
  5. 感染防止対策についてのコンサルテーション
  6. ファシリティ・マネジメント(医療サプライ、廃棄物処理、空調・水質管理、院内清掃)の推進
  7. 抗菌薬の適正使用の推進
  8. アウトブレイク対応
  9. 保健所及び地域の医師会と連携し、他の保険医療機関と合同で少なくとも年4回程度、定期的に院内感染対策に関するカンファレンス(うち1回は新興感染症の発生等を想定した訓練)及び感染防止対策の相互評価の実施
  10. ICTとの連携
  11. その他、感染防止対策に関すること
  12. 院外、国内外の感染対策に関わることを協議するために感染管理室会議を開催する。