呼吸器外科について
胸部領域の疾患に対して、手術をはじめとした外科治療を担当します。呼吸器内科、放射線科、病理診断科との合同カンファレンスなどを通して、呼吸器チームとして統一性のとれた診療を行っています。
2024年7月福井県内の病院で初めてロボット支援下肺切除術を保険診療で開始しました。よりよい治療を患者さんに提供できるように、ロボット手術のような新しい技術についても安全性に十分配慮しながら取り組んでいます。
連携医の先生方へ
肺癌のほか気胸、膿胸、外傷などに対して、呼吸器外科診療全般を担当します。
- 手術では低侵襲アプローチ(胸腔鏡手術やロボット手術)が大半を占めます。早期肺癌に対しては、根治性を担保したうえで肺機能を温存できる区域切除が増えてきています。
- 急性膿胸にはできるだけ早期に手術を行います。「発熱や炎症反応上昇があり、胸水を認める」「肺炎治療中に胸水が増加する」など、膿胸が疑われる状態の患者さんがいらっしゃればご相談ください。
主な疾患
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肺がん 詳細はこちら
肺がん
レントゲンやCTでの異常陰影がきっかけで肺がんが発見されることがほとんどです。がんの病巣が手術で全て取り切れる状態(ステージ0~IIIの一部)は手術の対象となります。
手術の方法では、創が小さい胸腔鏡手術やロボット手術が大半です。これらの手術は開胸手術に比べると痛みが少ないだけでなく、術後の回復も早いです。
従来は肺葉切除が肺がんに対する標準手術でした。しかし近年の研究によって、小さな肺がんに対しては切除する範囲を狭くした区域切除で肺葉切除よりも術後生存率が高いことがわかってきました。当院では十分に適応を検討したうえで、早期肺がんに対する区域切除に取り組んでいます。
ステージIIやIIIの場合,手術の前後に抗がん剤や放射線治療と組み合わせることもあります。
- 転移性肺腫瘍
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気胸
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膿胸
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手掌多汗症
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胸部外傷
特色
肺がんに対するロボット手術
ロボット手術といってもロボットが勝手に動いて手術するのではありません。患者さんから離れた操作台にいる術者がコントローラを動かすと、ロボットに取り付けられた鉗子(手術器具)が連動し、体内で手術が行われるというしくみになっています。助手が患者さんのすぐ近くにいて、術者の操作をサポートしたり鉗子を交換したりします。ロボット手術では全身麻酔がかけられた患者さんに横向きになってもらい、手術を開始します。ロボットの鉗子やカメラを挿入するための8mmあるいは12mmの創4個と、助手の操作に用いる3-4cmの創1個、合計5個の創を用いて手術を行うことが多いです。(『主な疾患』の『肺がん』の図を参照)ロボットを患者さんの身体に合体させ、体内に鉗子を挿入します。鉗子を操作して肺葉あるいは区域を切除し、肺を体外に取り出します。ロボットを患者さんの身体から外し、ドレーン(管)を1本入れて手術を終了します。
ロボット手術は大きな創ではなく複数の小さな創から行うため、患者さんの身体への負担が小さく、速やかな術後回復が期待できます。この点は従来の内視鏡手術(胸腔鏡手術)と共通しています。
ロボット手術と胸腔鏡手術の大きな違いは鉗子とカメラの性能にあります。ロボットで使用する鉗子には複数の関節があり、さまざまな方向によく動きますので、胸腔下手術の鉗子では不可能な複雑な動きを生み出すことができます。また、ロボット手術のカメラは体内の様子を立体画像として映し出すほか、ズーム機能によって細かな部分を鮮明に表示します。
肺がんの手術では肺やリンパ節といったもろい組織を触ります。また、傷つけるとやっかいな血管や気管支、あるいはその周囲に対する操作が大半を占めます。ロボット手術ではロボットだからこそできる動きを活かし、胸腔鏡手術では困難な精密な操作を、組織の損傷や出血を減らしながら行うことができます。
専門医制度と連携したデータベース事業について
外科・呼吸器外科を受診されている患者さんへ
我が国の医療の現状(どのような場所でどのような医療が行われているか)を把握するため、一般社団法人を立ち上げ、データベース化を開始することになりました。当院も平成23年1月1日より参加しますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
また、患者さんやご家族の方が登録を拒否したい場合はお申し出くださるようお願いいたします。
医師紹介
【科長】 呼吸器センター長(呼吸器外科代表部長兼務)
松倉 規 (まつくら ただし)
- 免許取得
- 平成元年
- 専門分野
- ・呼吸器外科
- 資格
- ・日本胸部外科学会指導医
・呼吸器外科専門医合同委員会呼吸器外科専門医
・日本外科学会外科専門医
・日本外科学会指導医
・福井大学臨床教授
・ダビンチ手術サーティフィケイト取得(第一助手資格)
副部長
山岸 弘哉 (やまぎし ひろや)
- 免許取得
- 平成21年
- 専門分野
- ・呼吸器外科
- 資格
- ・呼吸器外科専門医合同委員会呼吸器外科専門医
・日本外科学会外科専門医
・ダビンチ手術サーティフィケイト取得(執刀資格)
医師
有賀 希 (あるが のぞみ)
- 免許取得
- 令和2年
- 専門分野
- ・呼吸器外科
- 資格
- ・ダビンチ手術サーティフィケイト取得(第一助手資格)
外来担当医表
1番ブース | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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6診 | 有賀(再診) | 有賀(再診) | 交代制初診(完全予約制) | ||
7診 | 松倉(初診) | 松倉(再診) | |||
8診 | 山岸(再診) | 山岸(初診) | |||
10診 |
備考
- 毎週月曜日・水曜日:外来休診
- 毎週金曜日:完全予約制
- 毎週火曜日・木曜日:禁煙外来 午後完全予約制