耳鼻咽喉科

概要

耳・鼻・口腔・咽頭・喉頭(のど)・頸(首)の病気を取り扱います。言い換えると、脳と眼と歯を除く首上のすべての病気の治療をしています。内視鏡を使った手術を得意としており、耳の手術・鼻の手術・甲状腺の手術が該当します。日帰り手術も可能です。また、音声障害(声の病気)や嚥下障害(飲み込み)の手術・リハビリ治療も扱います。がんや悪性疾患の治療は、手術だけでなく放射線治療や化学療法(抗がん剤など)を併用して、できるだけ機能(食べること・話をすること)を温存できる治療を目指しています。患者さんそれぞれの生活習慣や家庭環境に合わせた治療を心がけています。

医師紹介

代表部長

大澤 陽子 (おおさわ ようこ)

免許取得年
平成10年
資格
日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医、日本アレルギー学会指導医・専門医、日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門研修指導医、補聴器適合判定医師、日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医、福井大学臨床教授

医師

森川 太洋 (もりかわ たいよう)

免許取得年
平成20年
資格
日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医

医師

堤内 俊喜 (つつみうち としき)

免許取得年
平成22年
資格
日本耳鼻咽喉科学会専門医

医師

坪川 亜優美 (つぼかわ あゆみ)

免許取得年
平成28年

連携医の先生方へ

耳鼻咽喉科・超頸部外科すべての疾患治療に対応します。人工内耳手術を除くすべての耳鼻咽喉科・頭頚部外科手術を実施しています。内視鏡を使用した手術を得意とし、TEES・ESS・VANS手術を積極的に取り入れています。嚥下改善・誤嚥防止手術にも対応しています。頭頚部がん治療は放射線治療科と連携して、機能温存した根治治療を基本としております。早期がんであれば外来放射線照射治療も可能です。

その他

外来日帰り手術・処置

  • 慢性中耳炎に対する鼓膜形成手術(接着法)
  • 良性の甲状腺腫・上皮小体嚢胞・頸部嚢胞性疾患に対するアルコール注入療法(PEIT)
  • 声帯ポリープ等に対する軟性ファイバースコープ下手術
  • アレルギー性鼻炎に対するレーザーを用いた粘膜焼灼術

従来では長期入院を要した慢性中耳炎、甲状腺腫瘍、声帯ポリープ等の手術治療ですが、症例によっては外来または1-2泊程度の短期入院で治療が可能です。

これにより患者さんの時間的・経済的なご負担がとても少なくなりました。

慢性中耳炎に対する鼓膜形成手術(接着法)

慢性中耳炎とは、鼓膜に穴(穿孔)があき、難聴や、耳から汁が出るような状態が長く続く病態をいいます。鼓膜形成手術はこの鼓膜の穴をふさぎ新しい鼓膜を再生する手術ですが、従来の術式では約2週間の入院が必要でした。しかし、1989年に湯浅 涼博士がフィブリン糊を用いた低侵襲性の手術法(接着法または湯浅法)を発表してからは、外来または1~2泊程度の短期入院で治療が可能になりました。

どのような手術ですか?

鼓膜の表面に麻酔薬付きの綿をしばらく置き、鼓膜を麻酔します。鼓膜の穴のふちをぐるりと切除したのち、耳の後ろを1~2cm切開して採取した組織片をこの鼓膜の穴に内側から貼り付け、フィブリン糊により固定します。手術は通常40分~1時間程度で終了します。ほとんどの例で手術直後から聴力の改善を自覚します。

貼り付けた組織片の表面に周囲から徐々に血管、さらには皮膚組織が伸びてきて鼓膜の再生が完成します。

手術後、組織片のずれなどで再び穴があく例が約20%にみられますが、このような場合のために手術の際に組織片を余分に採取し凍結保存してありますので、これを再度フィブリン糊で穴に貼ることで外来にて閉鎖処置が可能です。最終的には約95%の穿孔が閉鎖します。

鼓膜所見と聴力
  1. 術前の右鼓膜(図1)
  2. 術後2か月の右鼓膜。術後1年半経過した現在も穿孔は閉鎖している。(図2)
  3. 純音聴力検査。左耳にも難聴があり右は聞こえが良いほうの耳だったが、術後より右耳の聴力は改善し、生活の質は大幅に改善した。(図3)

図1

図2

図3

どのような症例が対象となりますか?

鼓室に病変がなく、パッチテストの結果が良好(鼓膜を一時的に綿などで塞いた際に十分な聴力の改善が得られる)な場合はよい適応となります

嚢胞を伴う良性の甲状腺腫・上皮小体嚢胞・頸部嚢胞性疾患などに対するアルコール注入療法(PEIT)

穿刺吸引細胞診などの検査により悪性が否定的な、嚢胞(液体の袋)を伴う甲状腺腫、上皮小体嚢胞、リンパ管腫等頸部嚢胞性疾患などに対して行います。超音波ガイド下に針を刺して内部の液を除去した後、エタノールを注入して組織の凝固、血管塞栓をおこさせ、再び増大しないようにします。

外来で行うことができ、頸部に傷を残さない点で優れています。

エタノール注入の際には痛みを伴いますが、通常30分以内に消失します。通常、数回にわたり注入を要します。

頸部超音波所見
  1. 術前。径3cmの嚢胞を伴う腫瘤を認める。(図4)
  2. 術後7か月。腫瘤は著明に縮小。(図5)

図4

図5

声帯ポリープなど喉頭良性腫瘤に対する軟性ファイバースコープ下手術

声帯ポリープなど喉頭良性腫瘤に対する音声外科手術においては、繊細な手術操作や安定した術野を要すること、絞扼反射(口の奥を触ったときに起こる「げっ」という反射)が生じないことなどの制約があるため、全身麻酔下のラリンゴマイクロサージャリー(以下ラリンゴ)が広く行われてきました。しかし、近年の軟性ファイバースコープの発達は、局所麻酔下においても安定した術野の確保と、ラリンゴに劣らぬ繊細な手術操作を可能にしました。

どのような手術ですか?

鼻・のどに麻酔薬を噴霧し麻酔した上で、鼻からのどへ挿入された内視鏡で助手が術野をモニター上に映し出し、術者はこれを見ながら口から専用の鉗子、メス等を入れ、手術操作を行います。声帯ポリープの摘出、声帯結節に対するステロイドまたは声帯麻痺・萎縮に対するコラーゲンの声帯への注射、軽度のポリープ様声帯に対する切開・液の吸引などが可能です。

利点や欠点はありますか?

術中に声のモニターができることは局所麻酔ならではの利点ですし、重篤な基礎疾患をもつかたでも全身麻酔に比べ侵襲が軽くすみます。また、肉芽腫などに多い後部声門の病変でも、全身麻酔時のような挿管チューブによる術野の妨げがないため、より良好な視野が得られます。外来で行うことが可能です。

ただし、絞扼反射が強いかた、のどの観察が難しいかたには行うことは困難です。また、病変が大きな例、多量出血が予想される例、乳幼児には適応がありません。術後1週間は発声を控えていただきます(これはラリンゴと同様)。

アレルギー性鼻炎に対するレーザーを用いた粘膜焼灼術

内視鏡下手術

1)副鼻腔手術:当科では、最新の機器を駆使し、低侵襲かつ安全な手術を目指しています。また、これらの機器は副鼻腔炎だけでなくがんを含めた腫瘍性病変の手術にも有用で、難易度の高い症例に対しても対応しております。内視鏡下副鼻腔手術IV型の実績は、福井県内主要4病院で最も多い実績を誇っております。

2)甲状腺手術:4センチ未満の良性甲状腺・副甲状腺腫瘍およびバセドウ病に対しての内視鏡手術の認可施設でもあります。当院では、VANS法による甲状腺内視鏡手術を実施しており、手術でできる傷は鎖骨下に2.5センチの小さい切開をいれるだけですので、頚部の傷を気にされる女性に特におすすめです。入院期間も通常の外切開より2-3日程度短くなり、5日間ほどの入院で対応しております。

適応疾患

  1. 良性甲状腺腫瘍(直径4センチ程度まで)
  2. 正常甲状腺程度の大きさまでのバセドウ病
  3. 副甲状腺腺腫・過形成(原発性副甲状腺機能亢進症)
  4. 悪性甲状腺腫瘍(1センチまでの被膜外浸潤のない乳頭癌)

おすすめの患者さん

  1. 未婚の女性
  2. 既婚の美意識の高い方(男女問わず)
  3. 短期入院治療希望の方

術前

術後1ヵ月

3)耳科手術:当院では、2.7mmの高精度内視鏡カメラを用いた外耳道を経由して内視鏡下に耳内手術を実施するTranscanal Endoscopic Ear Surgery:TEESを実施しています。当院でのTEES症例は、慢性中耳炎や耳小骨奇形などが対象です。上鼓室に限局した真珠腫症例などもTEES適応症例として実施しています。顕微鏡では外耳道から観察しにくいアブミ骨底周囲や乳突洞を観察することができ、内視鏡を目標とする対象に接近させて大きく拡大して観察することも可能なため、安全で確実な操作ができます。

甲状腺腫瘍(良性の腺腫、悪性の癌)やバセドウ病に対する手術

アルコール注入療法(PEIT)の適応にならない腺腫(大きい、悪性の可能性がある、など)、癌、薬物療法で治療困難なバセドウ病に対しては手術療法を行います。甲状腺疾患の豊富な治療経験に基づき、腫瘍に対する必要十分な切除はもちろんですが、頸部切開線のデザイン・縫合法、反回神経・上喉頭神経外枝・上皮小体などの温存、腺腫における胸骨舌骨筋の温存、気管・鎖骨・胸骨の切開・切除、気管の再建法など細部にわたり症例に応じて慎重な検討と配慮を行っています。また、バセドウ病は内科と協力し、血清甲状腺ホルモン値や残す甲状腺組織量などを十分検討の上、手術に望んでいます。

入院期間ですが、良性または早期癌であれば術後3~7日間で退院が可能です。当科では通常表皮は5-0または6-0という非常に細い糸を用いて縫合し、術後4~5日目に抜糸を行います。このような細い糸を適切に用いれば、少なくとも糸により皮膚が締め付けられて生じる皮膚の瘢痕は防ぐことができます。この糸の代わりに医療用接着剤を用い表皮を固定することもでき、これだと抜糸が不要となり早期退院が可能です。ただし、いったん固定したあとは表皮のずれの微調整が困難で、合わせた皮膚と皮膚の間に微量の血液が溜まりやすく創治癒への悪影響も懸念されるため、ご希望や皮膚の性状などをかんがみ症例に応じて使用しています。症例により、内視鏡下手術を2017年より実施しております。

症例
  1. バセドウ病による巨大な甲状腺腫(CT)(図6)
  2. 摘出した甲状腺。摘出量は560gで、左葉を4.1g残した。(図7)

図6

図7

口腔・咽頭・喉頭・頸部食道癌に対する治療

口からいわゆる「のど」にかけての癌の特徴として、1. そしゃく・嚥下、呼吸、発声などの機能と関連している、2. 味覚、嗅覚などの感覚系と関連している、3. 容貌の変化が目立ちやすい、4. 血管など重要な構造物に近いことが多い、等があります。手術で大きく病巣を切除すると一般的に根治性は高まりますが、その分機能低下や容貌の変化をきたし、QOL(生活の質)の低下を招きやすくなります。このため根治性とQOLのバランスが強く求められますが、われわれは手術、放射線療法、化学療法(抗癌剤)を効率よく組み合わせることでこれを目指しています。また、最近は進行癌に対し超選択的動注化学療法を症例に応じて行っています。これらの治療は放射線科、外科、形成外科、脳外科、歯科などと協力して行います。

症例1
  1. 超選択的動注化学療法前の進行した舌癌(図8)
  2. 注後1ヶ月。腫瘍は著明に縮小し手術可能となり、舌亜全摘術および大胸筋皮弁による舌再建術を行った。(図9)

図8

図9

症例2
  1. 頚部食道癌の食道透視像(図10)
  2. 咽頭喉頭食道摘出術、両頸部郭清術、胃管による食道再建術(外科と共同)ののち放射線療法を行い、治癒。呼吸は前頸部の気管孔(矢印)より行う。(図11)

図10

図11

外来検査

耳鼻咽喉科は聴覚・平衡覚・嗅覚・味覚等の感覚や、嚥下、音声などの機能的な疾患を扱うため、これらを正しく評価することが適切な治療につながります。

当科では下記の検査機器を備えており、より正確な病態の把握に努めています。

  • オージオメータ : 1998年以降の純音聴力検査をすべてデータベース化
  • インピーダンスオージオメータ : ティンパノメトリ、アブミ骨筋反射など
  • DPOAE
  • 耳管機能検査
  • 電子スコープ : 電子カルテとリンク、HDレコーダによる動画・音声を記録
  • 音声分析装置
  • 喉頭ストロボコピー
  • 鼻腔通気度計
  • 誘発電位・筋電図検査装置
  • 赤外線フレンツェル眼鏡
  • 眼球運動検査装置、電気眼振計
  • 重心動揺計
  • 補聴器特性測定装置
  • 音場法による聴力測定機器
  • 扁桃刺激装置 : 扁桃誘発試験
  • 電気味覚計

外来担当医表

5番ブース
6診 森川(予約・再診)   大澤 (予約・再診)   坪川(予約・再診)
7診 堤内(予約のみ)   坪川(予約のみ)   大澤(予約のみ)
8診 大澤(新患) 交代制 堤内(新患) 交代制 森川(新患)
午後     補聴器外来    

備考

  • 月曜日・水曜日・金曜日:受付11:30まで
  • 火曜日・木曜日:受付11:00まで
  • 補聴器外来(完全予約制)
    日時:毎週水曜日 14:00〜(言語聴覚検査が必要な場合は13時から)
    内容:補聴器の適応を判断する目的に、言語聴覚検査・補聴器適合判定を実施しています。
       補聴器の試聴にも対応しています。
  • 嚥下外来(完全予約制)
    日時:毎週水曜日 15:00〜
    内容:神経疾患や加齢に伴う嚥下障害の機能評価・胃瘻造設前の嚥下機能評価などに対応しています。
       外来受診で評価していますので、外来通院中の患者さんや他院入院中の患者さんが対象となります。