リウマチ・膠原病内科

リウマチ・膠原病内科について

膠原病領域につきましては、2022年4月に専門医が赴任しました。原因を特定できない関節症状/広範囲疼痛、長引く発熱/炎症反応のほか、特にシェーグレン症候群の診療に力を入れております。

当院でリウマチ・膠原病内科外来を開設して2年間で最も多い疾患はシェーグレン症候群で、100例を超えました。自科で小唾液腺生検も施行しており、内科医として全身評価しています。

その他、教科書に記載のある膠原病関連疾患には全て対応可能です。

連携医の先生方へ

膠原病領域では、痛み・熱・臓器病変のいずれかが紹介の対象になる場合が多いです。原因を特定できない関節症状/広範囲疼痛、長引く発熱/炎症反応のほか、特にシェーグレン症候群の診療と国際共同研究(ヨーロッパリウマチ学会シェーグレンビッグデータプロジェクトへ施設参加)に力を入れております。ドライアイ、ドライマウスを主訴にご紹介いただく場合は、可能であれば抗核抗体と抗SS-A/Ro抗体の2つをオーダーして頂き「抗核抗体セントロメアパターン かつ/または 抗SS-A/Ro抗体陽性」の場合に御紹介下さい。乾燥症状に関しては当科ではシェーグレン症候群か否かを評価します。シェーグレン症候群らしくないと判断する場合には、ドライアイ・ドライマウス症状に対して眼科・耳鼻咽喉科・歯科口腔外科など当該診療科での診療継続をお願い申し上げます。

臓器病変から膠原病関連疾患を疑う際は、① 当該臓器の専門医が診て特異的な所見から特定の疾患を考える場合(眼科医がぶどう膜炎からサルコイドーシスを疑うなど)、② 複数の臓器病変が同時期に重なっている場合(肺・腎・皮膚病変を伴う発熱例に血管炎を疑うなど)がよくあるケースです。前者については”専門医が”という点が重要で、皮膚科ではない医師が「顔が赤い→蝶形紅斑かもしれない→全身性エリテマトーデス(SLE)」と正確に疑うことは至難の業です。特に単一の臓器病変である場合は、幅広く診療する膠原病内科ではなく当該臓器の専門医への御紹介を優先して下さい。なお、腎臓内科を兼任しておりますので、腎病変に関してはこちらで一緒に診療します。後者の場合には膠原病を含む全身疾患が背景にある可能性が高く、膠原病内科が窓口となって当院として総合的に対応致します。

自己抗体に関しては、上述のシェーグレン症候群を念頭に置く場合を除いては専門医への紹介に際して測定は必須ではありません。上述の臨床状況に応じて紹介を御検討下さい。膠原病の診断は、あくまでも病歴・身体所見に基づいて行い、種々の自己抗体は想定した診断仮説を確認する目的で診察後に必要な項目をオーダー致します。抗核抗体が陽性でなければ紹介できないということはありませんし、抗CCP抗体が陰性だから関節リウマチではないということもありません。自己抗体にはあまりとらわれず、痛み・熱・臓器病変の状況に応じて御相談下さい。なお、採血項目ではCRP値を含む一般採血・尿検査は状況判断において極めて有用ですので、直近で検査歴があれば是非添付して頂けましたら幸いです。

主な疾患

  • 関節リウマチ 詳細はこちら

    関節リウマチ

    関節が痛いだけではなく(関節”痛”)、複数の関節に炎症=火事を起こしている(関節”炎”)場合に疑います。関節”炎”では腫れ・熱感・赤み・圧痛を伴うのに対して、関節”痛”ではそれらがありません。人口100人に1人の頻度と言われとても多い疾患ですが、診断に際しては関節症状を来すほかの疾患を除外する必要があります。多くの膠原病で関節症状を認めることから、正しく関節リウマチと診断するためにはあらゆる膠原病関連疾患に精通する必要があります。

    膠原病内科で扱う疾患の中でも、先駆けて治療の進歩が著しかったのが関節リウマチです。生物学的製剤という種類の薬剤が登場して以降、寛解=薬と付き合いながら治る時代になりました。症例ごとの病態に合わせて薬剤選択を行い、副作用にも注意しながら専門医が患者さんの人生を支えていきます。

  • 脊椎関節炎全般
  • 痛風・偽痛風
  • 若年性特発性関節炎(小児科から成人診療科への移行)
  • シェーグレン症候群 詳細はこちら

    シェーグレン症候群

    当科で最も多く診療している疾患です。ドライアイ、ドライマウスといった症状を来す「乾く病気」と、肺や腎臓、皮膚、神経などの臓器病変を来す「全身の病気」という2つの側面があります。海外との臨床研究にも長く関わっており、専門家として患者さんごとの違いを理解する診療につとめています。

    乾きに関しては「目が乾きますか?」という質問に留まらず、生活の中でどのような影響がありどのように困っているか、個別性を意識しながら病歴を聞いています。臓器病変はあっても軽い例が多いものの、本疾患で腎臓に影響が出るとすればどうなるのかを十分認識した上で診ていないと見逃してしまう可能性があります。

    膠原病の中でも特に診断が難しい病気と言えます。乾燥症状のみでなく、あらゆる臓器病変や検査異常が疑うきっかけとなり得ます。広く全身を診る専門科である当科だからこそ、シェーグレン症候群を診断する機会が多いのだと考えています。

  • 全身性エリテマトーデス
  • 全身性強皮症
  • 炎症性筋疾患全般
  • 混合性結合組織病
  • 血管炎全般
  • IgG4関連疾患
  • ベーチェット病
  • 成人スチル病
  • サルコイドーシス
  • 再発性多発軟骨炎
  • 線維筋痛症
  • 自己炎症性疾患全般
  • 膠原病を合併した妊娠・出産およびその計画についての相談 など

上記のあらゆる膠原病関連疾患に対して世界標準の診断・治療を行うことができるよう、日々研鑽を重ねております。

特色

膠原病について

膠原病(こうげんびょう)とは?

膠原病と聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょうか?「聞いたことがない」「難病」「何だかこわい」など、ネガティブな意見が多いかもしれません。しかし、膠原病の診断・治療は我々専門家ですらついていくのが大変なほど毎年急速に進歩しており、多くの方は外来通院で良くなっています。
膠原病とは何か、を一言で表現するのは難しいのですが、最もお伝えしたいのは「膠原”病”は1つの病気の名前ではなく、100以上の病気の総称(病気のグループ)である」ということです。

膠原病には他に以下のような特徴があります。

  • リウマチ性疾患:温泉の効能に書いてある”リウマチ”、つまり関節や筋肉が痛くなる病気。
  • 全身性炎症性疾患:全身に炎症(火事)を来し、発熱や体重減少、倦怠感などを呈する。
  • 多臓器の障害:1つの病気で肺、腎臓や神経など複数の臓器が同時に障害される。
  • 慢性疾患:薬をうまく使いながら、専門家とともに長く診ていく病気。
  • 自己免疫疾患:細菌やウイルスと戦うべき免疫の力が自分の身体に向かってしまう病気。
主な膠原病の名称
関節などが痛くなる病気 関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患に伴う脊椎関節炎、末梢性脊椎関節炎、リウマチ性多発筋痛症、痛風、偽痛風、若年性特発性関節炎 など
自己抗体という検査異常に関わる病気 全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性強皮症、皮膚筋炎・多発性筋炎、混合性結合組織病、抗リン脂質抗体症候群 など
血管炎 高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、ANCA関連血管炎、結節性多発動脈炎、IgA血管炎、クリオグロブリン血症性血管炎 など
その他 IgG4関連疾患、ベーチェット病、成人スチル病、サルコイドーシス、再発性多発軟骨炎、線維筋痛症、自己炎症性疾患 など
診療の流れ

①膠原病を疑う症状は次の3つです。まずは、お近くのかかりつけ医(主治医)に相談しましょう。

  • 長引く関節・筋肉の痛み
  • 長引く発熱
  • その他の臓器症状 など

②当院を受診する際は、かかりつけ医からの紹介状を持参してください。

③かかりつけ医からの提供情報、頭から足の先までの全身診察、採血、画像検査、各臓器専門医への相談などから総合的に診断し、副作用が少なく、効果を十分に発揮できる治療を選択します。

※膠原病の初診外来は原則木曜日に紹介予約をお願いしています。お急ぎの場合はご相談ください。

診断と治療

膠原病は長く付き合う病気なので、特に最初が肝心です。丁寧に診断することで今後10年、20年の見通しを立てます。膠原病の診断では「この検査が異常なら決まり」というものはありません。症状の経過、診察、採血に加えて、痛い部位のX線写真や超音波検査などを総合的に判断して診断します。
主な症状は、長引く痛みや発熱、何らかの膠原病を疑う臓器症状ですが、専門家でも判断が難しい場合があり、かかりつけ医の紹介状を持参していただくことをお勧めします。
治療の進歩は目ざましく、毎年のように新しい薬が開発されており、できるだけ副作用を出さずに長い療養生活を過ごすことができるよう日々工夫しながら診療しています。専門家による診断と治療を受ければ、多くの方は普通に仕事し、普通に妊娠・出産できています。
同じ病名でも個人差が大きく、インターネットで検索してもご自分の状況にあった答えはなかなか得られません。何か不安があればお気軽に専門家へご相談ください。

医師紹介

【科長】 副部長

鈴木 康倫 (すずき やすのり)

免許取得
平成18年
専門分野
・膠原病全般
・シェーグレン症候群の診療および臨床研究(ヨーロッパリウマチ学会シェーグレンビッグデータプロジェクトメンバー)
・脊椎関節炎
・腎臓病全般
・血液浄化療法
資格
・日本内科学会認定内科医、総合内科専門医、指導医
・日本リウマチ学会専門医、指導医、評議員
・日本腎臓学会専門医、指導医
・日本透析医学会専門医、指導医
・日本臨床免疫学会免疫療法認定医
・日本腹膜透析医学会認定医
・日本化学療法学会抗菌化学療法認定医
・日本リウマチ財団登録医
・日本腎代替療法医療専門職推進協会腎代替療法専門指導士
・ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター
写真はありません

非常勤医師

伊藤 清亮 (いとう きよあき)

免許取得
平成17年
資格
・日本内科学会認定内科医、総合内科専門医
・日本リウマチ学会専門医
・日本腎臓学会専門医

外来担当医表

S21番ブース
5診  

伊藤清(再診)

【兼腎臓内科】

     
6診  

鈴木(再診)

【兼腎臓内科】

鈴木(再診)

【兼腎臓内科】

鈴木(初診)

【兼腎臓内科】

 

備考

  • 受付時間 11:00まで
  • 【膠原病外来】初診:[木]鈴木Dr(膠原病の初診外来は原則木曜日に紹介予約をお願いしていますが、お急ぎの場合はご相談ください。)