医療現場における放射線画像診断の役割
画像診断は日々の診療において欠かせないものとなっており、その業務を担うのが放射線診断科です。画像検査にはCT、MRI、RI、超音波があります。
CT検査
360度方向からX線を体に当て、通過したものを検知しコンピューターで処理すると、体を輪切りにしたような断層画像が得られます(写真1)。
CT検査は短時間で広範囲の情報が得られます。X線を使うため被ばくの問題がありますが、適切な撮影方法を選択し、X線被ばく線量のコントロールを行っています。
現在のCT装置では1mm以下でデータを収集でき、詳細な構造を観察できます。肺がんの診断などにも役立ちます。また、そのデータから3次元画像を構築できるため、病変や臓器との関係が立体的に把握できます。臓器を色分けし見やすくしたり、病変がわかりやすいよう角度を変えたり、手術時を想定して特定の臓器を取り除いたり、診療に最も有効な形で情報を提供しています。
MRI検査
(上左:頭部、上右:腹部、下左:頭部血管、下右:下肢血管)
強力な磁力の中でラジオ波を体に当てて共鳴させ、画像を得る検査です。非常に強い磁力があるため安全管理が必要であり、原則として金属や機械は持ち込めません。被ばくはありませんが、機械の音がかなりうるさく、検査に時間がかかります。広範囲の撮影は行えませんが、さまざまな撮影方法により性状を詳しく分析できます(写真2、3)。
特に脳、脊椎(せきつい)、四肢(しし)で広く使用されており、脳梗塞(のうこうそく)、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、靱帯断裂(じんたいだんれつ)などについては欠かせない検査です。また、子宮、卵巣、前立腺など、骨盤腔(こつばんくう)に生じた病変に関しても優れた描出能が知られています。さらに、水成分を強調することで、胆嚢(たんのう)や胆管などを造影なしで描出したり、肝臓に特異的に集積する造影剤を使用したり、ほかの臓器でも用いられます。
核医学検査
RI(Radio Isotope : 放射性同位元素)と呼ばれる放射線を出す薬剤(放射性医薬品)を注射し、その放射線により画像を得ます。骨に集積する薬剤を用いると骨転移などを検出でき、脳に集積する薬剤を投与すると脳の血流や代謝などを評価することができます。
最近普及したPET(ペット)(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影法)検査もこの中の1つです。当院はPET-CT装置を導入しており、PET画像と同時にCTも撮影し、PET画像の精度を高めています。全身撮影でき、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)の転移検索などに用いられます。また、脳のアミロイド沈着を見るためのアミロイドPETも行っています(写真4)。
超音波検査
(上左:肝臓、上右:肝臓、下左:甲状腺、下右:乳腺)
音波の反響を用いて画像を得る検査です。被ばくの心配がなく、簡便に施行できます。腹部では腸管ガスなどで画像が見えないこともありますが、見えたときには特定の疾患に対して最も高い精度を示すこともあります。代表的な疾患として胆嚢ポリープ、膵嚢胞(すいのうほう)、虫垂炎などがあがります。
当院では医師が常駐しており、この検査に力を入れています。当日オーダーされた検査にもある程度対応しています。技師が行った健診の超音波検査で判断が難しい場合は、即日医師が再検査することもあります。また、皮下/軟部腫瘍(なんぶしゅよう)などに対しても検査を行っています(写真5)。
まとめ
前記の検査には、それぞれ得意分野と不得意分野があり、単独でわかる病気もあれば、複数の検査を組み合わせることでわかる病気もあります。また、CTやMRIには造影剤を使用することもあります。造影剤は画像を見やすくし、病変を検出したり、病変の性状を分析したりするために用います。
CTとMRIでは異なる造影剤が使用され、CTでは主にヨード造影剤、MRIでは主にガドリニウム造影剤が用いられます。さらに、検査によっては、口から薬を飲んで検査を行う場合があります。CTでは胃病変を調べるために発砲錠を、MRIでは腸管の信号を低下させるために鉄成分が入った造影剤を飲んでもらうことがあります。
放射線科医の役割は、主治医からの依頼を受けて、適切な検査方法を指示し、画像診断を行うことです。まれに造影剤アレルギーなどの副作用を起こす方がいますが、その初期対応も行っています。
検査は、装置を用いて撮影し画像を作成する放射線技師や、造影剤注射を行い患者さんの状態を確認する看護師と協力して行っています。



