全身を診る内科専門医による膠原病・リウマチ診療
膠原病とは? 「膠原病」は病名ではありません
膠原病(こうげんびょう)は病気の名前ではなく、100以上の病気の総称(病気のグループ)です(図1)。お腹(なか)の病気や、皮膚の病気と同様、さまざまな病気の集合体です。検索しても漠然とした情報が多く、不安に感じる方も多いでしょう。「有名人が“膠原病”であることを発表した」というニュースもしばしば耳にすることがあると思います。
膠原病に含まれる一つひとつの病気を深く知っている専門医としては、関節リウマチやシェーグレン症候群といった個別の病気と診断することはあっても、複数の病名を集めた名前である“膠原病”と診断することは原則としてありません。
膠原病・リウマチ内科医が診るべき病態であるという意味で、医師から「膠原病かもしれません」と伝えられ、情報が少ない中で心配されている方が多くいらっしゃるようです。しかし、専門医が正しく診断すれば、適切な治療につなげられますので、専門外来への紹介を担当医と相談してください。
専門臓器を持たず全身を診る 膠原病・リウマチ内科医
膠原病の特徴の1つは、全身の病気であるということです。血管炎という病気を例に挙げると、この病気が原因で肺、腎臓(じんぞう)、神経、皮膚といった複数の部位に病変をきたすことがあります(図2)。それぞれの臓器の専門医である呼吸器内科、腎臓内科、脳神経内科、皮膚科が協力して診療することは可能ですが、血管炎という病気の専門家である膠原病・リウマチ内科医が参加することによって、診療の全体的なまとまりが高まります。
膠原病の専門家は特定の臓器に限らず、全身を診ることを専門としています。膠原病・リウマチ内科医は、多くの臓器が障害される複雑な患者さんの診断を整理できるだけでなく、治療においては免疫抑制療法の専門家として、効果を最大に、副作用を最小限に抑える方法を熟知しています。
膠原病・リウマチ内科医はこれらの強みを生かして、各臓器の専門医と話し合い、診療全体がスムーズに進められるよう調整する役割を担っています。
診断は総合判断 1つの検査では決まりません
あらゆる症状・検査異常・画像所見などが膠原病を診断するきっかけになりますが、長引く発熱と、関節や筋肉の痛みが入り口になることが多いです。
当科を紹介受診した患者さんのほとんどは、外来で診断し治療しています。しかしながら、診療は決して簡単ではなく、専門医の知識と経験をもとに十分な時間をかけて考える必要があります。診断は1つの検査で決まるわけではなく、全身を対象とした問診と診察から具体的な病名を想定し、狙いを絞った採血や画像検査を行った後に総合的に判断します。
膠原病は長く付き合う性質の病気であり、正しく診断しなければ、その後の治療方針が揺らいでしまいます。長く経過を観察していく中で、診断が変わることもあります。専門医は責任を持って、患者さんの伴走者として共に人生を支えていきます。
治療は日進月歩 患者さんに合った方針を考えます
同じ病名でも、患者さんによって障害される臓器やその程度は異なります。関節リウマチでは関節の痛みが主な症状ですが、目や肺、腎臓など全身に影響が及ぶ場合もあります。したがって、病名が決まっただけでは“患者さん”の治療方針は決められません。“患者さん”の病気が、どの臓器にどのような障害がある状況なのかを各臓器専門医と一緒に見極めて、初めて治療法を決めることができます。
治療は主に免疫抑制薬を使います。多くの膠原病に対して日々臨床試験が行われ、国内でも新たに保険適用となる薬が毎年のように増えてきています。専門医でも、少しでも勉強を怠ると最新の治療についていけなくなるほど進歩が著しい世界です。まだ十分な治療法がない病気に対しても、近い将来、良い薬剤が登場することが期待されています。
当科の最多疾患はシェーグレン症候群 さまざまな状況から診断し世界に貢献
当院には、2022年4月に膠原病・リウマチ内科医が初めて赴任し、膠原病内科外来を開設しました。開設後2年間で、院内外からの紹介などにより初診した患者さんは462人に達しました(表)。膠原病の教科書に載っている病気はほぼ対応可能で、まれな病気であっても標準的な診療ができるよう、常に学会などで学んでいます。
当科で特に力を入れてきた病気がシェーグレン症候群であり、外来患者さんの中で最も多い病気です(図3)。目や口が乾く症状が主ですが、乾きだけでなく、採血の異常やさまざまな臓器病変から隠れた病気を診断しています。診療を通して得られたデータは、個人情報に配慮したうえで国際的な臨床研究へ登録しており、日々の診療が研究へと転換されることで、世界の医療の進歩につながっています。



