看護部ブログ

2-5病棟 ブログ

「オーラル・フレイル」という言葉を最近よく目にするようになりました。フレイルとは「加齢に伴い身体の予備能力が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態」を示しており、いわゆる「虚弱」という意味です。オーラル・フレイルとは、食物がうまくかめない、飲み込めない、誤嚥をするといった現象を総称して「オーラル・フレイル」と言います。口腔内が清潔に保てないと、むし歯になり歯牙欠損をおこし、さらには歯周病などが起こりやすくなります。さらに、咀嚼にも問題が生じ、食事が出来ないと、低栄養に陥ることとなります。また、高齢により嚥下機能が低下してくると、飲食のたびにむせて、最終的には誤嚥性肺炎を起こす可能性もあります。超高齢社会では、四肢の筋力を低下させず、寝たきりにならないことも大切ですが、ものがちゃんとかめる、よくかんでかむ筋肉(咬筋)を鍛える、誤嚥をせず食塊をちゃんと食道に送っていく機能を鍛える、こうしたことがオーラル・フレイルには非常に重要です。それがすなわち身体的フレイル予防にもつながります。
 病院内においては、化学療法を受ける患者さんは、抗がん剤使用による副反応として、口腔粘膜の発赤、痛みや違和感、食事がしみるなどの症状のほかに、口腔内の乾燥感や味覚の変化などの症状も出現します。また、耳鼻科領域における放射線療法でも同じように口腔粘膜の炎症が起きます。この口腔粘膜炎のために、口腔ケアが十分に行われないこともあり、2-5病棟では、高齢者のみならず、多くの化学療法患者さんや放射線療法患者さんにも、注意して口腔内を観察するようにしています。

入院患者さんに正しい口腔ケアの実践を行うことで、口腔内の清潔の保持や感染症などの合併症予防、さらに、栄養状態が保持されます。その結果として、患者さんのADL低下防止や早期退院に繋がると考えています。今後も患者さんのADLにも繋がる重要な看護として、患者さんやそのご家族の方に対して「口腔ケア」の重要性について働きかけていきたいと考えています。