集中治療室(ICU)で中心的な役割を果たす麻酔科医

集中治療室(ICU)で中心的な役割を果たす麻酔科医

集中治療室とは

集中治療とは、「生命の危機のある重症患者を、24時間の濃密な観察のもとに、先進医療技術を駆使して集中的に治療する」ことです。そして集中治療室(ICU)とは、その集中治療のために必要な診療体制とモニタリング用機器、また生命維持装置などの高度な診療機器を整備した診療空間をいいます。

当院では、麻酔科医が8床の集中治療室を24時間体制で管理しています。ICUに入室する方は、病院内で呼吸・循環・その他の全身管理が必要となった患者さん、救急搬送され集中治療が必要と判断された患者さん、頭や腹部などの大手術後の患者さんなど多岐にわたります。

近年のCOVID-19流行時には、初期から人工呼吸やECMO(エクモ)(体外式膜型人工肺)を必要とする重症COVID-19患者さんの受け入れを行ってきました。ウイルスの性質もわからず恐怖も感じる中でも、万全の感染対策を行い、患者さんを救うためスタッフ一同が日々邁進していました。

ICUとは、病院内で最重症患者さんを受け入れる「最後の砦」です。そこでは各スタッフが誇りと責任を持って診療にあたっています。

表 集中治療室患者数と麻酔別件数

診療について

ICUには、重篤な状態かつ原因の異なるさまざまな病態の患者さんが入室します。そのため、麻酔科医と各診療科主治医が中心となって、看護師、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士、栄養士といった多職種がチームを組んで診療を行います。毎日のカンファレンス(検討会)で、チーム内での情報共有を行い、診療の質の向上を目指しています。

麻酔科医は、麻酔薬による鎮静や鎮痛、人工呼吸や循環の管理に精通しています。その知識・技術を集中治療で生かすことで、ICUで中心的な役割を担います。

ICUでは複数の慢性の病気を持った患者さんが多く、薬剤を管理する薬剤師は欠かせない存在です。また、生命維持に欠かせない機械(人工呼吸器やCHDF〈持続血液濾過透析〉、ECMOなど)を必要とする患者さんも多く、その機械の管理は臨床工学技士が担います。

近年、ICU退室後の患者さんのADL(日常生活動作)の向上を目指した対策にも力を入れています。ICUには高齢者も多く、退室後を見据えたケアがとても重要です。人工呼吸器装着中からリハビリテーションを行ったり、腸管からの栄養投与を行うなど、最新の知見に基づいた管理を心がけています。また、理学療法士や栄養士と密に連携し、意見を交換しながら患者さんが早期回復できるように努めています。

当院にはRRS(院内迅速対応システム)という、入院患者さんの急変前の前兆にいち早く気づき、予期せぬ急変や心停止を減らす医療安全体制があります。そのRRSの情報を随時確認し、必要であればICUに入室してもらい、早期治療介入を行うことで、さらなる重症化を防ぐ取り組みも行っています。

このようにICUに入室中だけでなく、入室前から入室後まで通して患者さんのために最善最良の医療を提供できるよう、多職種が連携しチーム医療を行っています。

写真 集中治療室(ICU)

最後に

ICUに入室と聞くと「もうダメなのか」と感じる方がいるようです。もちろん重症の患者さんが入室するところではありますが、術後の患者さんなどは合併症が起きないか24時間体制で観察する目的で入室することもあります。重症患者さんに対しても専門的なチームによる最善の治療ができるよう努めています。

コロナ禍ではニュースなどで集中治療室が取り上げられる機会もありましたが、一般の方の印象は何か怖い場所というイメージなのかもしれません。さまざまな管や機械がつながり、一見非日常的な光景です。しかし、最近では鎮静を工夫することで、人工呼吸器がついていても目を開けてにっこり笑顔を見せたり、コミュニケーションがとれたり、リハビリも積極的に行えるようになっています。

ICUは患者さんやその家族にとって安全で安心できる場所であり、最新でより良い医療を提供できるように精進しています。

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