日本人に多い皮膚がんの1つ基底細胞がん

日本人に多い皮膚がんの1つ
基底細胞がん

基底細胞がんとは

基底細胞がんは、高齢者の頭や顔面に発生しやすい皮膚悪性腫瘍(あくせいしゅよう)の1つです。ほかに腕や足、体に発生することもあります。皮膚は表皮と真皮(しんぴ)で構成され、その下層には皮下組織があります(図1)。

図1 皮膚の構造

基底細胞がんは、表皮の最下層にある基底細胞や、毛包系細胞(毛根を包む組織)から発生する腫瘍であることがわかっています。皮膚悪性腫瘍の中でも最も頻度が高い一方、転移を起こすことはまれであり、多くは切除によって完治できるため予後*1は良好です。紫外線や放射線、砒素(ひそ)などで誘発されることがあります。長年、日に当たるような仕事をされていた方や、放射線治療を受けた方などは注意が必要です。

*1 今後の病状についての医学的な見通し

基底細胞がんの症状

写真 基底細胞がんの臨床像

一般的に最も多いのは、黒色で蝋様光沢(ろうようこうたく)のある結節病変(結節型)で基底細胞がんの約80%を占めています(写真)。通常は痛みがないため、徐々に増大したり、表面に傷ができて出血したりしてから受診するケースが多いです。最近では、ほくろのがんは怖いというイメージが多くの患者さんの中にあり、顔に黒いできものができたことで早期に受診される方が増えたため、進行例は滅多に経験しません。

しかしながら、黒くないもの(無色素性病変)や、結節を作らず平坦な病変(表在型)、やや凹んだ病変(斑状強皮症型)などバリエーションもあり、受診が遅くなるケースもあるため、少しでも気になるようであれば専門医の受診をお勧めします。

紫外線対策

基底細胞がんの診断

ダーモスコピーという特殊な拡大鏡を使用し、表面の色素や血管構造など、特徴的な所見から診断することができます。典型的なものであれば簡単に診断がつきますが、わかりにくいものは局所麻酔をして皮膚病変の一部を切り取り、顕微鏡でみる検査(病理組織学的検査)が必要になります。毛包と似たような組織構築を取るため、見た目がわかりにくいものでも病理診断は比較的容易です。

また、悪性度の高い腫瘍であれば転移の有無を調べるために画像検査を行いますが、基底細胞がんは内臓転移することはほとんどないため、一般的にCTやPET(ペット)検査は行いません。

基底細胞がんの治療

治療の基本は手術による切除です。大半は局所麻酔による手術が可能ですが、進行していると判断される場合には、手術を2回に分けて行うこと(2期的手術)や、大きいものに対しては植皮による再建が必要となり、全身麻酔で行う場合もあります。通常、悪性腫瘍の手術では再発リスクを下げるため、低リスクであれば4mm、高リスクであればさらに大きく切除します。

基底細胞がんの再発は断端陽性(だんたんようせい)、つまり取り残された腫瘍細胞があるところから起こります。

再発症例では追加の手術が必要で、初回よりもさらに大きく切除する必要があるため、顔面であれば整容面の問題が生じます。初回の手術で、顔の小さい腫瘍を取るだけなのに、想像よりも大きな傷になってしまったと思われるかもしれませんが、再発リスクを下げるためには必要十分な範囲で切除することが重要です。

近年では、境界がはっきりしている症例に対しては、そこまで大きく切る必要はないというデータも出てきており、切除範囲を狭く設定することも増えてきています。手術が困難な場合には、放射線治療や薬物療法なども選択肢となります。

トピックとして免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ)が切除不能な基底細胞がんにも適応が拡大され、転移したような難渋する症例にも治療選択が増えたことは朗報です。

基底細胞がんは、再発するとしたら2年以内であることが多く、術後2年を目安にフォローし、再発がなければ終診としています。

図2 治療の流れ
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