貧血の診療について血液内科が果たす役割
貧血とは
貧血とは、血液の中の赤血球という成分が何らかの理由で減ってしまうことをいいます。
赤血球は酸素を全身に運ぶ役目を持っているので、貧血になると酸素の運び屋が少なくなり動悸(どうき)や息切れ、倦怠感(けんたいかん)などの症状がみられるようになります。
血液内科と貧血
血液内科医をしていると、さまざまな診療科の先生から貧血患者さんの相談を受けます。患者さん自身からも相談を受けます。ただ一口に貧血といっても、原因は多岐にわたります。
「何を食べたらいいのですか?」「鉄分を摂ったらいいのですか?」という質問もよく受けますが、その答えは「貧血の原因」によります。貧血が起こる背景には、多種多様な要因が複雑に絡み合っていることがあり、場合によっては食べるものは一切関係ないこともあります。
私たちは、貧血の原因を突き止めて、そこにアプローチすることで貧血の改善を図ります。もちろん、原因によっては血液内科ではなく、他科が治療する貧血もあります。その場合、私たちは仲介をする役目を担います。
例えば、血便があり貧血だという場合、最初から消化器内科を受診することもあると思います。しかし、原因がはっきりしない場合は、私たちが調べて、適切な科と連携する形で対応しています。
貧血を診たらなぜ起きたのかを考える
血液は「骨髄(こつずい)」という骨の中心部にある“造血工場”で作られ、体や手足をめぐる血管に供給 (いわば“出荷”) されています。私たちは貧血の患者さんを診たときに、まず「造血工場はちゃんと血液を出荷できているのか?」を考えます。もし出荷できていない場合は、なぜそのようなことになったのか原因を考えます。きちんと出荷できているなら、造血工場以外に問題があることになります。
大まかには、「表1、2」のような原因が考えられます。もちろん、ほかにも理由や複雑なケースがあり、原因が組み合わさっている場合もあります。
造血工場のチェックである骨髄検査
貧血の原因の中でも「表1の③~⑤」の理由を考えたときには、骨髄そのものを一部検査で採取する必要があります。うつ伏せ、または横向きに寝てもらい、骨盤の骨(腸骨)から局所麻酔をしたうえで、骨髄液や骨髄の組織を採取します(図2、胸の胸骨から採取する場合もありますが、骨盤が一般的です)。
これらの検査を経て貧血の診断がついたら、それぞれの原因について、各診療科と連携して治療を行っていきます。



