がん治療オプションの拡大をめざして
がんゲノム医療とは
がんは遺伝子の変化が原因の1つとして引き起こされる病気です。近年の研究により、がん細胞の遺伝子変異は個々の患者さんによって異なることが明らかになっています。がんゲノム医療とは、がんが発生した臓器ではなく、がんの原因となる遺伝子の変化に基づいて診断・治療を行う医療です。
がん遺伝子パネル検査
がん遺伝子パネル検査は、手術や生検などで採取したがん組織や血液を用いて、「次世代シークエンサー」という解析装置で一度に数十から数百のがん関連遺伝子の変化を調べる検査です。この検査により、個々の患者さんに適した治療法を検討することが可能です。
また、治療に役立つ情報とは別に、がんになりやすい体質であることが判明する場合があります(遺伝性腫瘍(しゅよう))。この場合、ご自身だけでなく血縁者も同じ体質を共有している可能性があるということを意味します。遺伝性腫瘍について心配なことがある場合には、遺伝カウンセリングで専門家に相談しながら進めていきます。
がん遺伝子パネル検査は、2025年1月現在、保険診療として認められているのは世界中で日本だけです。現在、5種類の検査が承認されており、そのうちの1種類を選択することになります。
がん遺伝子パネル検査の課題と問題点
保険適用でがん遺伝子パネル検査を受けられるがん患者さんには細かい条件が定められており、これらの条件を満たした方のみが検査の対象となります(図1)。
また、数十から数百の遺伝子異常を調べても、新しい治療に結びつくのは検査を受けた方の5~20%程度とされており、検査を受けても治療薬の候補が見つからない場合も少なくありません。
したがって、がん遺伝子パネル検査はすべての人に勧められる検査ではありません。まずは標準治療を受けることをお勧めします。そのうえで、体力的にも精神的にも余裕があり、がん遺伝子パネル検査を受けたいと希望される方は、主治医と相談してください(図2)。



