パーキンソン病の新しい治療法と教育入院について
パーキンソン病とは
パーキンソン病とは、中脳の黒質(こくしつ)と呼ばれる部分にあるドーパミンという神経伝達物質をつくる神経細胞が次第に減っていく病気です。アルツハイマー病に次いで、神経変性疾患の中で2番目に多い疾患です。
4大症状として、手足の軽いふるえ(振戦)、筋肉のこわばり(筋強剛)、全身の動作がにぶくなる(動作緩慢)、体のバランスが悪く、倒れやすくなる(姿勢反射障害)などがゆっくりと進行していきます(図)。
そのほか、自律神経のみだれによる症状(便秘、排尿の問題、立ちくらみなど)、精神症状(うつ病、不安)、もの忘れ、睡眠の問題(レム睡眠行動障害、不眠症、日中のひどい眠気など)、においがわかりにくい、体のさまざまな部位での痛み、疲れやすさなどを伴う場合があります。
当院に2023年度に「パーキンソン病」の病名で来院された患者さんは合計258人でした。
パーキンソン病患者さんの増加と診断方法
パーキンソン病は通常、中高年に発症することが多く、平均的な発症年齢は60歳前後です。
2020年の厚生労働省の調査によると日本のパーキンソン病の推定患者数は28万9千人と報告されています。
パーキンソン病患者さんは、高齢化社会に伴い、2015年からの25年間に2倍以上に増加すると推定されています(JAMA Neurol.2018;75:9-10)。
パーキンソン病の診断は、主に問診と脳神経内科医による診察をもとに行います。画像検査としてMRIは、ほかの病気を除外するために実施することがあります。また、診断の補助として核医学検査(DATスキャンやMIBG心筋シンチグラフィー)を行う場合もあります。
パーキンソン病の新しい治療法について
(アッヴィ株式会社HPより引用 https://a-connect.abbvie.co.jp/products/code/vyalev_image.html)
いまのところ、パーキンソン病を完全に治す方法はありませんが、症状を管理するための治療法があります。内服治療では、L-ドパなどのドーパミンを補充する治療や、直接ドーパミン受容体に作用する薬などを用います。また、薬の治療と同時に、体を動かすことも大切です。運動を通じて、体を動かす能力の維持と改善を図ります。
パーキンソン病が進行し、薬の効果が不安定になる患者さんに対しては、より安定した効果を提供する新しい治療法として、LCIG療法(レボドパ/カルビドパ持続経腸療法)や脳深部刺激療法(DBS)を検討することがあります。パーキンソン病の薬(レボドパ/カルビドパ持続皮下注療法)を皮膚の下に直接注射し続ける治療もできるようになりました(写真1)。
当院では、レボドパ/カルビドパ持続経腸療法13例、持続皮下注療法3例の導入実績があります。これらの治療が適切かどうかを評価して、実際に導入と薬の量を調整し、経過観察まで行うことができます。これらの治療が必要な方は、当院を含めた実施可能な医療機関の受診をお勧めします。
パーキンソン病教育入院について
当院では、より早い時期から運動を始めることと、病気の知識を持つことが大切であると考え、「パーキンソン病教育入院」を2022年2月より実施しており、2024年10月までに28人の患者さんが入院されました。
教育入院は10日間の当院オリジナルのプログラムで、医師、看護師、リハビリテーションスタッフ、薬剤師、歯科、耳鼻咽喉科、社会福祉士等の多職種が、それぞれの立場からアドバイスを行っています。退院後も、運動と治療を続けてもらうように、外来で声かけとサポートをしています。
パーキンソン病と 上手に付き合うお手伝い
パーキンソン病は、ゆっくりと進んでいく病気です。また、症状の波があることに理解が必要です。患者さんが、より安全に安心して生活を送ることができるように、社会的なサービスの調整を含めて、私たちもできる限りのサポートをします。



