鼻づまりの治療——内服・手術・抗体療法まで

鼻づまりの最新治療
内服・手術・抗体療法まで

大人の鼻づまりの原因には、鼻炎、副鼻腔炎(ふくびくうえん)(ちくのう症)、形態異常(鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう))、鼻腔内外の良性腫瘍(しゅよう)、鼻腔内外の悪性腫瘍などがあります。ここでは、鼻づまりの治療法を説明します。

表 成人の鼻づまり原因

鼻炎

最新統計では、アレルギー性鼻炎の有病率は49.2%です(鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版)。大人の2人に1人がアレルギー性鼻炎を患っています。大人の鼻炎は、感染(かぜ)よりもアレルギー性鼻炎のほうが多いということです。

アレルギー性鼻炎の治療には、内服薬や点鼻薬が一般的で、処方箋がなくても薬局で購入することができます。また、アレルギー性鼻炎を根本的に改善する免疫療法もあります。治療期間は2~3年と長期にわたるため、根気のいる治療ですが、成功すれば症状が大幅に軽減されます。さらに、重傷花粉症に対する抗IgE抗体療法も実施しています。花粉シーズン中に、1か月に1回の注射をするだけで、ほぼ花粉症の症状がなくなりますが、非常に高価な薬であり、毎年注射を受ける必要があります。

点鼻薬乱用や重症アレルギーにより、肥厚性鼻炎(ひこうせいびえん)(鼻粘膜が腫(は)れたまま)になることがあり、この場合は手術治療が必要です。当院では、内視鏡下粘膜下下鼻甲介骨切除術(ないしきょうかねんまくかかびこうかいこつせつじょじゅつ)を標準治療としています。鼻みずを改善するための翼突管神経切断術(よくとつかんしんけいせつだんじゅつ)も同時に実施することが多いです。これら手術は6日間の入院が必要です。

気軽に鼻づまりを改善したい場合は、鼻粘膜変性手術(粘膜レーザー焼灼術(しょうしゃくじゅつ))があり、外来の日帰り手術で実施しています。2019年12月、県内初最新型CO2レーザーシステム(Lumenis AcuPulse40WG)を導入し、鼻腔後方の粘膜焼灼も十分に可能となりました。このような手術を組み合わせることで、鼻炎による鼻づまりが改善されます。

図1 鼻づまり手術
図2 鼻腔内の様子

副鼻腔炎(ちくのう症)

副鼻腔炎の特徴として「ごど鼻」があります。他県出身の方にはわかりにくいですが、黄色~緑色のどろっとした鼻みずのことです。粘性が高く、鼻をかんでも出てこないため、鼻づまりが生じます。抗生物質を長期間内服することにより改善します。副鼻腔炎を放置すると鼻茸(はなたけ)(ポリープ)ができます。鼻茸を合併する副鼻腔炎は、鼻汁(びじゅう)がさらに出にくくなるため、内服薬だけでは治らなくなります。

治りにくい副鼻腔炎には免疫異常がかかわっている場合があります。重症気管支肺炎を合併する副鼻腔気管支症候群と、気管支喘息(きかんしぜんそく)を合併する好酸球性副鼻腔炎が有名です。

副鼻腔気管支症候群は抗生物質である程度改善しますが、ほぼ生涯にわたって内服する必要があります。一方、好酸球性副鼻腔炎は抗生物質では改善しませんが、ステロイドという免疫を抑制する薬で改善します。しかし、ステロイドを頻回に服用すると糖尿病や感染症になりやすくなります。そのため、副鼻腔気管支症候群や好酸球性副鼻腔炎は手術治療が優先されます。

手術は内視鏡下副鼻腔手術が標準治療です。以前の内視鏡を使わない手術(歯ぐきから手術する方法)に比べると、手術後の痛みや顔の腫れがほとんどありません。

手術を受けても再発する患者さんがいます。好酸球性副鼻腔炎は再発しやすく、鼻茸ができやすい特徴があります。鼻茸ができると鼻づまりが出る前に嗅覚(きゅうかく)障害が現れることがあります。

当院では2022年4月に、福井県内初(北陸では金沢医科大学に次いで2番目)の嗅覚専門外来を開設しました。さまざまな原因による嗅覚障害の患者さんが受診されますが、他院で手術を行って再発した重症好酸球性副鼻腔炎の患者さんが多く受診されています。手術を受けたにもかかわらず再発した副鼻腔炎などに適応のある抗体療法を提案しています。抗体療法は好酸球性副鼻腔炎だけでなく、気管支喘息の症状も改善するため、再手術を受けずに抗体療法を受ける患者さんも増えてきています。

写真 鼻咽腔ファイバー検査

形態異常

薬で鼻づまりが全く改善しない患者さんがいます。鼻腔形態に異常があり、鼻中隔が高度に曲がっています(鼻中隔湾曲症)。治療としては、鼻腔形態改善手術があり、2024年6月から内視鏡下鼻中隔手術I・II型に加えてIII・IV型も保険収載されました。従来の手術方法で改善しなかった鼻づまりを改善することができるため好評を得ています。

鼻腔内外の良性腫瘍

良性腫瘍単独で医療機関に受診する患者さんは少なく、鼻出血や副鼻腔炎を合併して初めて受診される患者さんが多いです。反復する鼻出血や「ごど鼻」を放置せず、耳鼻咽喉科に早めに受診してください。

鼻腔内外の悪性腫瘍

一般的には一側の鼻づまりがみられます。合併しやすい症状としては、鼻出血、顔面腫脹(しゅちょう)、視力障害、嗅覚障害などがあります。余談ですが、嗅覚外来を開設してから鼻腔内外の悪性腫瘍の患者さんの紹介が増えています。嗅覚障害も放置せず、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

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