気管支喘息の最新治療
気管支喘息とは
気管支喘息(きかんしぜんそく)とは、空気の通り道である気管支(気道)が慢性的に炎症を繰り返すことで、気管支が狭くなり、呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーといった音が聞こえる喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難などの発作が生じる病気です(図1)。
症状としては、咳(せき)がつらいですが、命にかかわるのは喘鳴や息切れといった症状です。症状は軽くても適切な処置が行われないと、重い呼吸不全に陥り、喘息死に至ることもあります。喘息はアレルギー疾患であり、患者数は増加の一途を辿っている一方で、喘息死に至る患者さんは年々減少しています。1950年には年間死亡者数16,000人を超えていたものの、現在では2,000人以下にまで減少しており、かつてのスローガンであった「めざせ、喘息死ゼロ」は、達成目前となっています(図2)。
喘息死の減少は、気管支喘息治療の劇的な進歩によるものであり、その成果は目を見張るものがあります。
気管支喘息の最新診断
気管支喘息の3大症状は、①咳、②喘鳴、③呼吸困難です。とりわけ、喘鳴は喘息に特異的な症状ですが、しばしば喘鳴がなく、聴診器で「息をはいて」と強制的に聴診しても、病的な肺雑音が聞こえない患者さんも珍しくありません。そのような患者さんでも、咳が強くて苦しい人や、呼吸困難になって突然死したりする人もおり、気管支喘息は油断ならない疾患です。
気管支喘息の診断は、以前から呼吸機能検査による「FEV1:1秒量」(1秒間に吹ける空気の量)の減少や治療、症状による変動が用いられてきました。1秒量は気管支の広さと相関するので、狭くなると減ります。しかし、これだけでは診断しきれない場合もあり、近年では、呼気NOやCTによる気管支壁肥厚*1なども診断に有用とされています。
また、アレルギー体質が明らかな人には、血液検査でアレルギーに関連した好酸球という細胞やIgE抗体というアトピー性炎症に関連した異常値が認められることがあり、診断の参考になります。
さらに、喘息は全身のアレルギー性疾患を合併することも多く、鼻炎、副鼻腔炎(ふくびくうえん)、皮膚炎、時に消化管、肺、神経などに及ぶ場合もあり、「好酸球性多発血管肉芽腫症(こうさんきゅうせいたはつけっかんにくがしゅしょう)」という指定難病に認められることもあります。
*1 気管支壁肥厚:気管支の炎症や慢性的な刺激によって、気管支の壁が通常よりも厚くなる状態
気管支喘息の最新治療
気管支喘息治療は、1993年に吸入ステロイドが標準治療とされて以来、さまざまな吸入薬の進歩がありました。現在では、「トリプル吸入製剤」といわれる、優れたステロイド吸入薬と2種類の優れた気管支拡張剤の合剤が喘息治療の主役となっています。1日1回の吸入で、ほとんどの患者さんは、喘息症状がなくなり、気管支の狭さも解消されます。
喘息治療が不十分な状態が長引くと、気管支は狭いまま固まってしまい、リモデリングといわれる喘息死を引き起こす原因となります(図3)。以前の薬剤では効果が弱く、十分に気管支を拡張させることができませんでしたが、現在の「トリプル吸入製剤」であれば、ほとんどの患者さんの気管支を正常な状態に保つことができます。
飲み薬としては、モンテルカスト錠があり、アレルギー性鼻炎を伴った患者さんに効果的です。アレルギー症状が強く、重症な患者さんでは、「バイオ製剤」という注射剤が適応になります。これは体のアレルギーの炎症を引き起こすメディエーターといわれる体内因子に中和的に作用する薬剤で、効果が高く、副作用が極めて少ないことが特徴です。体のアレルギーの状態に合わせて、現在5種類の「バイオ製剤」が使用可能です。
当院では、「トリプル吸入製剤」を併用し、多くの難病患者さんの治療に取り組んでおり、全国的にも豊富な使用経験があります。また、難治性喘息に対する気管支内視鏡的治療である「気管支サーモプラスティー(図4)」においても、多数の治療実績を誇っています。特に北陸では唯一、局所麻酔下で施術を行っており、これまでに20例を超える難治性喘息の患者さんに対して治療を実施し、極めて高い有効性を示しています。
その結果、高額な「バイオ製剤」や副作用の強いステロイド内服薬の中止が可能となり、喘息症状が改善し、日常生活が楽に送れるようになったという喜びの声を多数いただいています。



