脳神経外科の多様な疾患に対する他科連携による専門治療を提供
血管内治療 最先端デバイスを用いた治療
脳神経外科の診察・治療は多岐にわたります。従来から行っている、開頭(頭の骨を外して行う手術)して顕微鏡を用いて、動脈瘤(どうみゃくりゅう)や腫瘍(しゅよう)の治療をする直達(ちょくたつ)手術は、現在でも実施していますが、主に血管内治療(主に太ももの血管からカテーテルを挿入して透視下に行う)や、脳腫瘍に対する放射線治療、抗がん剤と組み合わせた集学的治療、さらに末梢(まっしょう)神経や脊髄(せきずい)に対する手術も脳神経外科の扱う病態となります。
中でも血管内治療は、近年さまざまなデバイス(道具)の開発により、これまで治療のできなかった病気も治療できるようになってきました。代表的なものは「フローダイバーター」で、網目が細かくつくられた金属の筒を使用することにより、従来はバイパス術を駆使して長時間を要して手術をするような困難だった巨大動脈瘤の治療が可能になりました(図)。
当院では指導医1人を含む常時3~4人の血管内治療専門医が在籍しており、チームでこれらの最新治療に取り組んでいます。
脳腫瘍 適切な治療を選択
脳腫瘍についてもさまざまな治療法が進歩しています。中心となる摘出(もしくは生検)手術においては、治療の安全性を高めるため、最新の顕微鏡、ナビゲーションシステム、神経モニターを使用しています。
残念ながら、脳腫瘍の多くは手術だけでは治療できません。化学療法については、腫瘍の遺伝子検査を基本として個別に化学療法を行うテーラーメード医療が進んでいます。遺伝子検査では、特殊な検査が必要な場合もあり、連携大学である京都大学や福井大学と相談しながら、現時点で最良の治療を患者さんに提供できるよう努めています。
外科的治療と同様に、放射線治療も脳腫瘍の重要な治療手段です。私たちは、常に放射線治療科とも連携を取りながら治療を行っています。
頭部外傷 迅速なチームで対応
自動車の安全装置などの発展により、頭部外傷の発生は以前より減少しましたが、それでも脳疾患の緊急対応が必要とされる疾患の1つです。特に高齢化が進んでいることや、福井県が雪国であることから、転倒や転落による頭部外傷は毎年多く発生しています。
当院では、脳卒中の緊急対応として24時間体制を整えており、いつでも頭部CTを判断できる医師がいます。治療が必要な場合には、脳神経外科を中心とした担当医が集結して必要な対応を行います。
もちろん緊急の治療には麻酔科や看護師、放射線技師に加え、場合によっては整形外科や外科など他科との連携も欠かせません。当院では、脳卒中と同様に疾患に応じてチーム治療を行う体制を維持しています。
脳神経内科との密接な関係
脳神経センターの24時間体制は、脳神経外科と脳神経内科が合同で維持しています。脳神経内科は脳卒中だけでなく、認知症や変性・脱髄(だつずい)疾患、神経系の感染症、脳腫瘍など、脳疾患全般にわたってさまざまな疾患を扱っています。しかし、初期症状が脳神経外科の疾患と共通することも多いため、正確な診断をして適切な治療を患者さんに提供するには、2つの科がお互いに情報を共有して協力することが重要です。
当院では、普段から脳神経センター内で協力して診療を行っているため、脳神経内科と脳神経外科の情報共有と連携が非常に強いことが特徴です。それぞれが自由に相談し、意見を交換することで、正確で、より良い治療を目指しています。
整形外科、耳鼻咽喉科、形成外科など 多数の科と連携し、治療を提供
脳神経外科の治療は、主に神経や血管を中心とするものですが、頭頸部(とうけいぶ)の疾患に対しても全般的に扱っています。そのため、耳鼻科領域や形成外科領域の疾患においては、合同で治療を行うこともあります。特に下垂体(かすいたい)腫瘍に対する内視鏡手術では、耳鼻咽喉科と脳神経外科がそれぞれの専門性を生かして協力し、正確性と安全性を高める工夫をしています。
また、脊髄疾患についても、同じ神経を扱う脳神経外科と整形外科が連携して治療を行うこともあります。これからも総合病院の利点を生かして、手術だけでなく治療方針に関しても、ほかの診療科と協力しながら患者さんにより安全な治療を提供するよう努めていきます。



