集学的治療

体と心にやさしい医療を提供しています

がんの治療法には手術(外科治療)、薬物療法、放射線治療などがあります。より高い治療効果を目指して、がんの種類や進行度に応じて、これらの治療法を組み合わせて治療することを集学的治療といいます。

当院でも、様々な方法での手術、入院や外来通院での薬物療法、放射線治療などを組み合わせ、患者さんと相談しながら治療を決定していきます。

手術療法

ダビンチXI

がん治療にとって手術療法は、かかすことのできない有効な手段です。しかし、体の中のがんを切除・摘出するためには、腹壁や胸壁といった内臓を覆っている「壁」を突破しなければなりません。

以前は胃や大腸がんを切除するためには、おなかを20cmほど切開してがんを含めた胃や腸を切除する必要がありました。これは腎臓や子宮なども同じでした。

近年内視鏡の技術が発達することにより、(「壁」を突破することなくあるいは)なるべく小さい創での治療ができるようになりました。

早期の胃がんや大腸がんであれば、口や肛門から胃カメラや大腸カメラを挿入して、安全に切除することが可能となりました(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESDなど)。外科的切除にともなう創や臓器を切除することによる合併症もなく、長期の入院も必要がありません。

また腹腔鏡や胸腔鏡を用いた「鏡視下手術」は4-5か所(単孔式では1-2か所)の小さい創から器具をお腹や胸の中に入れて手術を行います。術後の創の痛みや痕跡を減らし、早くから活動でき入院期間も短縮されます。結果、「心にもやさしい手術」と言えます。

更に最近では前立腺がんや胃がん、大腸がんに対する腹腔鏡手術においてロボット支援による手術を行っています。ロボットの鉗子は繊細で複雑な動きができます。また手振れがなく、3D画像で視野が良好ですより「根治性」を高め「機能温存」できることで、体にやさしい手術となっています。

当院でも2016年に最新機種ダビンチXiを導入し、前立腺がんに対し前立腺・腎臓・膀胱・胃・直腸の手術で使用しています。

薬物療法

薬剤を使って、がんを治療することを「薬物療法」といいます。

医師・薬剤師・看護師などの様々な職種が協働して治療方法を検討しています。入院・通院どちらの治療でも患者さんに安全に安楽に治療を受けていただけるように取り組んでいます。

通院で治療を受ける方は、先進中央棟3階の外来化学療法室で治療を行います。

医師の診察後、薬剤師は、お薬の種類、量、投与する間隔、血液検査の結果等が問題ないかを再確認し、設定された量を正確に調製します。その後さらに医師・看護師によりお薬に問題ないことを確認して、患者さんのもとに届けられます。また必要に応じて治療前に、薬剤師から、化学療法の投与スケジュールや出やすい副作用についての説明を行います。

室内は、窓から差し込む明るい陽射しをうけ、広い空間が保たれています。看護師は患者さんができるだけ支障なく日常の生活が送られるように、副作用症状の対策や対処方法を一緒に考えていくように関わらせていただいています。

また、がん診療センターの相談窓口への橋渡しやサロンでの催し物のご案内もさせていただき、患者さんが治療や療養生活について相談できる環境を提供させていただいています。

放射線治療

放射線治療は、1. がん全体に確実に放射線を当て、2. がん以外の部分には放射線をなるべく当てず、3. 患者さんの体の負担も軽くすることを目指したがんの治療法です。

近年その精度はますます向上しており、当院でも『Vero4DRT(ベロ フォーディーアールティー)』(日立メディコ社)(図1)・『VitalBeam(バイタルビーム)』(米国バリアンメディカルシステム社)(図2)の2台の装置を導入して高精度放射線治療を実施しています。

放射線治療中のケア

放射線治療中やその後に、放射線を当てた部分を中心に炎症(やけど)や倦怠感(疲れやすい感じ)が生じることがあります。多くの場合、放射線治療が終了していれば数週間~数ヶ月で治っていきますので、放射線治療中に症状が出ても治療をなるべく中断しないことが大切です。そのために症状の内容や程度に合わせて放射線治療専門医・放射線治療専門看護師が適切なケアや処置を行いますので、お気付きになったことはスタッフに率直におっしゃってください。

図1

図2

放射線科 放射線治療

患者さん一人ひとりのより良い治療を目指し定期的に「キャンサーボードを実施しています。

キャンサーボード

手術、放射線診断、放射線治療、薬物療法、病理診断及び緩和ケアに携わる専門的な知識を有する医師・コメディカルスタッフがカンファレンスを行っています。

対象となる患者さんには、「がん地域連携クリニカルパス」を提案しています。

がん地域連携クリニカルパス

福井県では、胃がん、大腸がん、肺がん、肝がん、乳がん、緩和ケアの「がん地域連携クリニカルパス」を統一で作成し、かかりつけ医(地域の医療機関)と連携して診療を行う仕組みがあります。

対象となる患者さんには、提案させていただき、診察や検査の予定等を記載した「私のカルテ」をお渡しいたします。

スケジュール表イメージ