つらくない胃がん検診 経鼻内視鏡のすすめ

つらくない胃がん検診
経鼻内視鏡のすすめ

「健診」と「検診」

「けんしん」には2種類あるのをご存じですか。「健診」と「検診」です。「字は違うけど中身はどう違うのだろう……」と思われたことはありませんか? 混同される場合もありますが、両者は似て非なるものです。

「健診」は全身の健康状態を評価し、生活習慣病、心臓病、脳卒中などの病気の危険因子があるかどうかを調べることです。人間ドックや職場健診などが該当します。

一方、「検診」は特定の病気にかかっていないかどうかを調べることで、がんの有無をみる各種がん検診や、虫歯や歯周病などを調べる歯科検診などが該当します。早期発見から早期治療につなげ、特にがん検診では死亡率の低下を目的にしています。

がん検診

食事や生活習慣の変化、長寿など、さまざまな要因でがんは増加しています。今や2人に1人ががんになり、4人に1人ががんで亡くなっています。過去40年間、死因の第1位にもなっており、がんは身近な病気なのです。

がんによる死亡を減らすため、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸(しきゅうけい)がんの5つについて、肺がん検診の胸部レントゲン、大腸がん検診の便潜血検査、乳がん検診のマンモグラフィーなど、科学的に有効であると証明された方法で検診が実施されています。いずれのがんも早期であれば90%以上の5年生存率(治療で命を助けられる割合)が得られています。

しかし、国内のがん検診受診率はおおむね40%前後にとどまっており、先進7か国の中では最低です(G7平均は80%前後)。受診率を向上させようと多くの自治体が広報活動や費用負担をしていますが、効果に乏しいのが現状です。受診しない理由として「時間がない」「健康に自信があるので検診の必要性を感じない」などが上位に挙がりますが、先述した通り、がんは身近な病気で決して他人事ではありません。検診で自覚症状が出る前の早期に発見し、早期に治療できれば十分に治癒が期待できます。ぜひ、検診を受けてもらいたいと思います。

胃がん検診と内視鏡

胃がん検診の方法には、内視鏡検査とバリウムを用いた透視検査があります。透視検査は簡便で短時間で済み、放射線技師でも施行可能で、費用も安いといった利点がありますが、凹凸のない平らな病変や色の変化は認識できません。また、放射線被ばくを伴うことや、バリウムを間違って肺へ飲み込むことで起こる肺炎などが問題となります。

一方、内視鏡検査は胃の中を直接観察するため、色の変化やわずかな凹凸も認識でき、特に早期胃がんの発見には断然優れています。さらに疑わしい部分があれば組織の一部を採取し(生検)、がんかどうかの確定診断をつけることもできます。ごく早期の胃がんであれば、内視鏡下の切除だけで治療が完結し、外科手術も必要ありません。

このように胃がん検診として非常に優れている内視鏡検査ですが、最大の欠点が検査時の苦痛です。「こんなにつらい検査は二度と受けたくない」と言われる方も少なくありません。鎮静剤を使用して眠っている間に行う方法もありますが、これをすべての施設で多くの受診者に行うのは困難です。

そこで、内視鏡検査の利点を保ちつつ苦痛を少なくした方法が、今回紹介する「経鼻内視鏡(けいびないしきょう)」です。

経鼻内視鏡と経口内視鏡

写真 内視鏡(左:経口鏡、右:経鼻鏡)

内視鏡を口から挿入するのが従来の経口鏡(けいこうきょう)、鼻から挿入するのが経鼻鏡です。両者には2つの大きな違いがあります。

1つ目は内視鏡の太さで、経口鏡8~9mmに対し、経鼻鏡は5~6mmと約半分です(写真)。経鼻鏡は細いため以前は画質の低下もありましたが、最新型では改善され、検診目的では経口鏡と遜色のない性能となっています。

2つ目は内視鏡通過経路の違いです(図)。経口鏡は舌の付け根を通り、太いことから吐き気をもよおす嘔吐(おうと)反射が起こりやすく、これが苦痛の最大原因です。また、検査中に会話はできません。一方、経鼻鏡は細く、舌から離れたところを通るため嘔吐反射が起きにくく、会話も可能です。経口、経鼻両方の経験者を対象に当センターで行ったアンケートでも90%近い人が「経鼻が楽」「他人にも勧める」と回答しています。実際に年間約5,500件のうち80%の方が経鼻内視鏡を選択しています。

図 経口内視鏡と経鼻内視鏡:経路の比較

もともと鼻腔(びくう)(鼻の内部)が狭い人や、鼻炎のある人はできないことがありますが、その場合でも細い経鼻鏡を経口検査に使用することで、できるだけ受診者の苦痛軽減に努めています。内視鏡がつらくて胃がん検診を避けていた方は、ぜひ経鼻内視鏡を試してみてください。

表 選べる胃検査(2015年7月より経鼻カメラ導入)
健診センターでは細径の胃内視鏡検査を行っています。胃内視鏡検査を希望される方には、鼻からの検査か口からの検査かの選択が可能です。
※あらかじめ看護師が問診を行い、適切な検査を選択しますので、希望に添えない場合もあります。
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