看護部ブログ

部署紹介46(緩和ケア病棟(エキナケア))

緩和ケア病棟(エキナケア)に入院している患者さんにとって体と心の辛さが和らぐ様な体験はとても貴重です。
今回は、日常のささやかなエピソードをご紹介します。

病棟内のデイルームの棚に一つの水槽があります。今は小さなエビが数匹気持ちよさそうに飛び回っています。
その様子を毎日楽しみに見ておられる患者さんのUさん。
ある日、「わーすごい!」と言って看護スタッフを呼びに来られました。水槽の中にはなんと、多くのエビの赤ちゃんが誕生していたのでした!これには、私たちもビックリ!!「おなかに卵を抱えていたんや」と、Uさんは嬉しそうに教えて下さいました。
あまりの小ささに写真にはうまく納まらなかったけど、ほっこりする出来事でした。
  


6月1日のブログにもある様に、私たちの病棟にもすずらんの贈り物がANAグループ様から届きました。
患者さんお一人お一人に一輪ずつのすずらん、幸せの香り付きしおり、そして鉢植えのすずらんまで頂きました。
本当に有難いことです。新型コロナウイルスの事で航空会社さんも大変だろうにと思いながらお部屋の患者さんに心を込めてお届けしました。
Sさんは、酸素吸入をしながら目をつむっていました。少し意識が朦朧としていて、息もつらくなるのであまり動けません。そんなSさんに私は、幸せを感じられる香りを伝えたいと思い、しおりを擦って、そっと酸素マスクの下へ近づけました。なんと、Sさんはしっかりと目を見開き「いい匂いがする」と呟いたのです。小瓶に挿したすずらんも見て頂きゆっくり頷かれました。
数日後、Sさんは、飛行機が飛ぶもっと上の青い空へ旅立って逝かれました。すずらんの香りがここで過ごした思い出の一つになっていただけたら幸いです。